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CSR/社会貢献活動の取り組み

ノルウェーと日本の労働生産性の違いについてノルウェーと日本の労働生産性の違いについて

掲載日:2018年06月04日
ステークホルダー : 地域社会
キーワード : ダイバーシティ 働き方改革 国際社会

ノルウェーと日本の労働生産性の違いについて|
ノルウェー大使館 通商技術参事官 ロルフ・アルムクロヴ様
通商技術部 マーケットアドバイザー ミカール・ルイス・ベルグ様
にインタビュー

 日清医療食品は病院・介護福祉施設向け、給食受託会社のリーディングカンパニーとしての透明性の高い経営にするため、すべてのステークホルダーの皆様に対し、積極的かつ公平・迅速な情報開示に努めています。

 また、当ホームページではWebの特性を活かし、双方向のコミュニケ―ションツールとして、CSRへの取り組みの最新情報を随時公開しています。

 日清医療食品ではステークホルダーエンゲージメントを、社会課題の解決の手法や組織の決定に関する基本情報を提供する目的として、組織と一人以上のステークホルダーとの間に対話の機会を作り出すために試みられる活動と捉えています。

 今回、OECD加盟諸国の一人当たりGDP35か国比較で3位であるノルウェー王国に焦点を当て、ノルウェー大使館 通商技術参事官のロルフ・アルムクロヴ様とノルウェー大使館 通商技術部 マーケットアドバイザーのミカール・ルイス・ベルグ様に同比較にて18位の日本との違いと、ノルウェーでの労働生産性の高さの違いについてインタビューを行いました。

※労働生産性の順位については、公益財団法人日本生産性本部の資料を参考にしています。

»ノルウェー大使館 HPはこちら

» ステークホルダーとの対話一覧についてはこちら

ノルウェー大使館 通商技術参事官 ロルフ・アルムクロヴ様と、通商技術部 マーケットアドバイザーのミカール・ルイス・ベルグ様

ノルウェー大使館 通商技術参事官 ロルフ・アルムクロヴ様と、通商技術部 マーケットアドバイザーのミカール・ルイス・ベルグ様

インタビュー前:労働生産性についての前提について


【生産性=Output / Input】


 “生産性”という言葉に着目すると、“生産性”は、投入資源と産出の比率を意味します。投入した資源に対して産出の割合が大きいほど、生産性が高いということになります。

生産性=産出(Output)/投入(Input)

 労働生産性とは労働の成果を労働力で割ったものです。言い換えれば労働者一人あたりが産み出す成果、もしくは労働者が1時間で生み出す成果の指標です。

 そして、この労働生産性は、労働者のスキルアップ・業務効率化や経営効率で改善されます。

【「企業の労働生産性」と「国際社会の労働生産性」の違いについて】


 OECD加盟諸国の一人当たりの労働生産性については、国際社会での労働生産性になります。
 国際社会での労働生産性はGDP(国内総生産)を就業者数かける労働時間でわったものになります。

労働生産性=GDP(国内総生産)/就業者数または(就業者数×労働時間)

 昨今、「日本の労働生産性」が落ちているという報道では、この労働生産性(国民経済生産性)を基準として言われていることが多い。

 この国民経済生産性には次のような問題があります。

•国ごとの経済構造によって1人あたりGDP換算は異なる。
•地方ごとの経済発展格差を考慮できていない。
•企業労働生産性の代表値ではなく、全体の平均としてのマクロ的数値。

Q.ノルウェーの産業と生産性について教えてください。


【ノルウェーでの生産性について】


ノルウェー大使館 通商技術参事官 ロルフ・アルムクロヴ様

※インタビューに答えるノルウェー大使館 通商技術参事官 ロルフ・アルムクロヴ様

 ノルウェーでは石油・ガス・など天然資源の産業の生産性が高いため、全体で平均すると、結果高くなっています。

 また、在宅勤務をある程度容認したり、フレックスタイムを導入したりして、個人に適した働き方が出来るような環境を作っています。

 働き方が多様化しているのも、ノルウェーの国土と人口、人口密度にも関係しているかと思います。

 また、ノルウェーは人口も日本の約25分の1と少ないので、女性も大事な労働人口ですし、多くの移民も活躍をしていますが、ロボットなどのIT化・オートメーション化にも積極的に取り組んでいます。

 ちなみに、ノルウェーはEUには加盟をしていません。そのため、競争に負けないように改善していった結果も生産性の向上につながった一つの要因と思います。

国土面積 人口 人口密度 労働生産性
ノルウェー 323,808km2
(2018.2月時点※1)
5,295,619
(2018.1月時点※2)
16.35人/km2
(2018.1月時点※3)
78.7
(2017.12月時点※4
日本 377,973.89km2
(2018年1月時点※5)
126,490,000
(2018年5月時点※6)
334.65人/Km2
(2018年1月時点※7)
46.0
(2017.12月時点※4

(ノルウェーと日本の国土面積・人口差の表)
※1 情報元:ノルウェー中央統計局
※2 情報元:ノルウェー中央統計局
※3 ※1、※2の数値より算出
※4 情報元:公益財団法人日本生産性本部 OECD加盟諸国の時間当たり 労働生産性(2016年/35カ国比較)より
※5 情報元:国土交通省 国土地理院 平成29年全国都道府県市区町村別の面積を公表より
※6 情報元:総務省 統計局 人口推計(平成29年(2017年)12月確定値,平成30年(2018年)5月概算値) (2018年5月21日公表)より
※7 ※5、※6の数値より算出

Q.ノルウェーでの労働時間・残業や休日出勤の有無や休暇について教えてください。

【労働者が勝ち取った権利】

ノルウェー大使館 通商技術参事官 ロルフ・アルムクロヴ様

 ノルウェーでの今日の働き方や休暇の取り方は、労働者が時間をかけて勝ち取った権利です。
 約40年の時間をかけて労働者が取得した権利、そして、その権利を全て使う文化が根付いています。

【ノルウェーと日本との法整備の違い】


 ノルウェーでもプロジェクト・業務等で残業が発生することもあります。しかし、ノルウェーでは残業は一時的なものであると考えています。

 経営者が労働者に残業をさせると法令に則り高い賃金を支払うことになりますし、もし、経営者が労働者に適正な賃金を支払わないと裁判になります。

 裁判になるとレピュテーションリスクにより、質の高い労働者がその企業に集まらなくなります。
 
 人口の少ないノルウェーでは労働者が確保できない状況は、企業として死活問題になります。

 更に、ノルウェーでは労働組合が非常に強く、大・中企業は訴訟リスクを避けるために残業をさせない仕組みや支払いに取り組んでいます。

残業割増 1週間の
残業上限
4週間の
残業上限
1年間の
残業上限
ノルウェー 40% 10時間 25時間 200時間
日本 25% 15時間 43時間 360時間

(ノルウェーと日本の労働法令の違い)
ノルウェー:ノルウェー 労働社会問題省 労働局HPより
日本:労働基準法第36条より

ノルウェー大使館 通商技術参事官 ロルフ・アルムクロヴ様

 また、働き方も日本と異なる点があります

 ノルウェーの法定では週40時間以下、習慣は週37.5時間の勤務が多いです。
 
 この時間をクリアすれば、一部業種や職種により例外はありますが、基本的にどのような働き方をしても問題ありません。

 例えば「昨日9時間働いたから、今日は6時間で帰ろう」というように、自分の意思で勤務時間を調整することも可能です。
 
「ワーク・ライフ・バランス」は「マイ・ワーク・ライフ・バランス」でもあります。自分にあった働き方が選べるのもノルウェーでの働き方の特徴です。

【女性活躍について】

ノルウェー大使館 通商技術部 マーケットアドバイザーのミカール・ルイス・ベルグ様

※インタビューに答えるノルウェー大使館 通商技術部 マーケットアドバイザーのミカール・ルイス・ベルグ様

 ノルウェーでは、上場企業の取締役のうち4割は女性を登用しなければならないという法律が定められています。

 そして、国会議員についても4割が女性であり、ノルウェーの内閣については約5割以上が女性です。

 ただ、まだノルウェーの民間企業トップ100のうち女性社長は7社のみに留まります。まだまだ女性が活躍できる可能性があります。

 ノルウェーでは73%の女性が働いています。これは1歳から5歳までの子ども全員が保育園に通えることが法律で担保されており、現在は9割が保育園に通っています。

 日本では保育園不足が問題になっていますが、ノルウェーでも子どもを受け入れるキャパシティーが100%ではありませんでしたが、国が戦略を立て、時間をかけて現在の体制が構築されました。

 また、女性が安心して出産できるように両親の育児休暇の取得期間が選択できます。

・49週間 育児休暇をとる前の給与と同額の給与を受け取る。
・59週間 育児休暇をとる前の給与の8割を受け取る。

 支給額か育児休暇の長さを取るのかを選ぶことが出来ます。

 また、ノルウェーでは男性が育児休暇を取りやすい制度があります。

【パパ・クオータ制度】


ノルウェー大使館 通商技術部 マーケットアドバイザーのミカール・ルイス・ベルグ様

 1993年からノルウェーでも男性の育児休暇制度が取り入れられました。当時はその期間が4週間でしたが、現在10週間になっています

 男女平等の精神が根付いているノルウェーでも当初から受け入れられたわけではなく、導入時点での育児休暇取得率はわずか5%でした。

 啓蒙活動や社会的な意識改革に取り込んだ結果、翌年の1994年には40%にまで取得率が伸び、2003年以降、現在に至るまで9割以上の働く父親が育児休暇を取得しています。

 他の欧州圏の国々にも男性の育児休暇制度はありますが、ノルウェーにおける制度の特徴は“パパのための制度”であることです。

 他の国では夫婦話し合いの元、どちらかが取るのかを選べるため、男性のためではなく家族に与えられた権利に近いものがあります。

 そして、結果的に母親が育児休暇を取得することが多くなる傾向があります。

 ノルウェーのパパ・クオータ制度は10週間(給与は支給されます)の育児休暇は純粋に父親のみに与えられた権利です。男性が取得をしなければ男性の育児休暇がなくなるだけです。
(補足:両親の育児休暇のトータルの週数から10週間がなくなるということです。お母さんが代わりにパパの分のクオータ取得することは状況により認められることもあります)

 そして、この10週間は連続して取得しないといけないものでもありません。「毎週金曜日に取得する」とか、「週に1日を育児休暇とする」などといった取り方も可能です。

【ノルウェーから見た日本の育児休暇について】

 日本の厚生労働省のデータによれば育児休暇を取得したい男性は全体の3割におよぶそうですが、実際の育児休暇取得率は2%とのことです。

 また、一般的な日本のビジネスマンは年間の有給休暇があっても、実際に取得している人は少ないようにも思います。

 ノルウェーでは夏に4~5週間ほどの休暇を取ることを楽しみにしています。そのため、7月に働く人はほとんどいません。これは文化の違いかも知れません。

Q.日本とノルウェーで働き方の違いについて教えてください。


【責任や権限の違い】

 ノルウェーでは一人ひとりの仕事に対する責任が大きいですが、その分権限も与えられます。

 入社してある程度したらもう権限が与えられます。これは、ノルウェーの人口が少ないためかもしれません。

 日本でもこれから人口が減少することを考えると、権限委譲を進めるとともに、日々の報告、連絡、相談ではなく、必要最低限度に変えてみるのも一つかも知れません。

【ICTの違い】


 ノルウェーではデジタル導入、オートメーション化が高いです。働き方としてもリモートワークが認められていることもあります。リモートワークの利点は、空いた時間に時間ができることだと思います。

 仕事を早めに切り上げて保育園に子どもを迎えに行き、家族と食事をした後に仕事の続きをするなどです。

【業務範囲の理解】


 ノルウェーでは、上司と部下との間で業務に関する共通認識がジョブ・ディスクリプションによってはっきりしています。

 ジョブ・ディスクリプションとは、職務内容や職務の目的、目標、責任、権限の範囲のほかに、そのポジションとかかわりをもつ社内外の関係先、必要とされる知識や技術、資格、経験、学歴などが記載されています。

 日本のいい所は自らの職務でもなくても、仕事を受け入れる柔軟さだと思います。これは文化の違いによるものでしょうか。


Q.日本が労働生産性を上げるにはどうしたらよいか?


【評価ポイントの明確化】

 明確なジョブ・ディスクリプションではなくても、職務の目標や責任のより明確化は大事かと思います。

 日本では長く働くことが美徳とされているようにも感じますし、職場の人とのコミュニケーションを大事にしているように感じられます。

 仕事の後の付き合いの食事や飲み会はほとんどありません。

【ホワイトカラーの生産性向上】


 日本の工場は自動化が進み、生産性は高いと思います。

 また、日本の生産やサービスの質は高くノルウェーからも学ぶために多くのノルウェー人が来日しています。

 しかし、日本のホワイトカラーの業務はノルウェーと比較すると絶対量が多い感じがします.

 また、日本は不確実性の回避が高いと思います。それはビジネスとしてはすばらしいことなのですが、100%を達成する労力と98%を達成する労力とを比較した場合、明らかに時間もコストも98%のほうが効率的ですが、100%を目指すのが日本的だと思います。

 今後、日本が経験する労働人口不足を考えた場合、リスクをどう受容するのかもポイントになると思います。

Q.今後日本に求めるものがあれば教えてください。


【少子高齢化を迎える日本を手本に】

 これからノルウェーも少子高齢化を迎えます。日本が少子高齢化をどのように解決するのかに興味があります。

 また、日本の介護食は非常にレベルが高いです。

特に見た目にこだわることから食欲がわきます。

 クオリティーを高めることは労働生産性とトレードオフかも知れませんが、日本の介護食をノルウェーでも購入できるよう取り組んでいければと思います。


※所属・役職名はインタビュー時になります。

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