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CSR/社会貢献活動の取り組み

調理師の魅力とこれからの時代の可能性について調理師の魅力とこれからの時代の可能性について

掲載日:2019年07月16日
ステークホルダー : 業界
キーワード : 有識者コメント 給食業界 調理師

調理師の魅力とこれからの時代の可能性について|有限会社フードビジネス企画開発室  代表取締役 安田 理様にインタビュー

 日清医療食品は病院・介護福祉施設向け、給食受託会社のリーディングカンパニーとしての透明性の高い経営にするため、すべてのステークホルダーの皆様に対し、積極的かつ公平・迅速な情報開示に努めています。

 また、当ホームページではWebの特性を活かし、双方向のコミュニケーションツールとして、CSRへの取り組みの最新情報を随時公開しています。

 日清医療食品ではステークホルダーエンゲージメントを、社会課題の解決の手法や組織の決定に関する基本情報を提供する目的として、組織と一人以上のステークホルダーとの間に対話の機会を作り出すために試みられる活動と捉えています。

 今回、有限会社フードビジネス企画開発室 代表取締役でもあり、大阪あべの辻調理師専門学校、同エコール辻大阪 講師、流通科学大学 非常勤講師でもある安田 理様に調理師の魅力とこれからの超高齢社会で求められる調理師の可能性についてインタビューをおこないました。

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大阪あべの 辻調理師専門学校・同技術研究所 非常勤講師 安田理様

インタビューに答えていただいた、大阪あべの 辻調理師専門学校・同技術研究所 非常勤講師 安田理様

Q.外食産業の現状について教えてください。


【外食を2つに分類する】


 まず、私は外食には365日3度の“日常”に食べる食と、特別な“非日常”の食の二つがあると考えています。

 “日常”の食事はファミレスやファストフード、給食など生活に密着した食事になります。日清医療食品様もこちらの分類になります。

 “非日常”の食事はイタリアン、フレンチなどのレストランや割烹、料亭などの専門店になります。日常と非日常の違いには大きくアルコールの提供の有無と単価が異なります。

 “日常”の食事では客単価は低いですが、顧客数が多く、“非日常”の食事では客単価が高くなればなるほど、顧客層が少なくなります。

 2019年5月22日の日経MJに掲載されました、日本の飲食業総売上ランキングでは1位がゼンショーホールディングス、2位がすかいらーくホールディングス、3位が日本マクドナルドホールディングス、4位が日清医療食品でした。

 飲食業総売上ランキング上位を見ると当然のことですが、“日常”の食事を提供している企業が占めており、それだけ日常食の市場規模は大きいということになります。

【料理人が目指す世界】


 私が所属している辻調理専門学校では14万人の卒業生がおり、入学する学生の8割は自らの店を持つことを夢見ています。

 けれど、自らオーナーになれる料理人は現在までに3,000名程度です。割合で言うと夢を実現できた卒業生は2%超で98%は雇われ料理人となり、どこかに所属し料理の腕を磨いています。

 多くは有名ホテル、レストランなど華やかな世界に憧れて就職しますが、5年以内に半数が退職をする現状があります。

 これは全ての外食産業が当てはまるわけではありませんが、未だに過酷な労働条件の勤務先があるのも事実です。

 外食産業の労働条件が過酷な背景は昭和の高度経済成長期の流れがあるのではと私は考えています。

 当時は多店舗展開するチェーン店の多くは、店長には数日しか休みがなく、パート社員は応募を出せばすぐに集まるため、店長の意に沿わない意見を言ったら解雇されるような時代でした。

 時代は昭和から平成、そして令和と変わりましたが、未だに昭和感覚で店舗運営をしている所も一部存在しています。

 ただし、一部の先進的な企業では改革がかなり進んでいます。ブラック企業ならぬホワイト度ランキングでは残業時間や有給取得、育児休暇の取得状況などを開示し、社員が働きやすい労働環境を整備する企業が増えてきました。

 日清医療食品様もHPで情報開示をされていますが、今後多くの給食サービス企業も情報開示をし、企業が働きやすい環境をPRしていくのではと考えています。

※参考 日清医療食品 年次有給休暇取得実績・育児休業取得実績

詳細 2015年 2016年 2017年
年次有給休暇取得実績 有給付与日数 13.3日 13.3日 14.7日
有給取得日数 6.2日 6.3日 6.4日
取得率 46.1% 47.4% 37.9%
育児休業取得実績 男性 2名 1名 1名
女性 753名 795名 822名
全体 755名 796名 823名

【外食産業の求人倍率】

 正社員求人とパート・アルバイト求人を対象に、掲載された求人のタイトルで急増した単語が何かの調査結果(2018年調査)では、パート・アルバイト求人倍率では1位が「厨房」(7.57倍)、正社員求人では1位が「飲食」(4.18倍)でした。

 これはいかに飲食業が人手不足の厳しい状況にあるのかがわかる調査結果です。

 そして、これから少子高齢化により労働人口が減少していくが、特に“日常”の食事を支える産業は社会のインフラの一部でもあるため、何らかの取り組みを行わなければ社会構造自体が危機的に陥ってしまいます。

 そのため、“日常”の食に携わる企業においては調理師や業界のイメージアップに注力していく必要があります。

Q.どういう人が調理師・調理業界に向いていますか?


【味覚への感受性と8つの条件】


 調理師を目指す上で料理することに何らかの関心があり、当たり前ですが、調理師学校に入った段階で興味を持っています。調理人に求められる資質といっても、18歳でスタートしたばかりの若者の資質をあらかじめ判定することは難しいことですが、しかし、あえて挙げれば、大切な資質とは「味覚に関する感受性」ということになるでしょう。
 ただし、調理師に求められる基本的な条件といわれれば以下の8つです。
1.基礎的な食材・食品の名称、種類、特徴がわかること
2.食品衛生に関する基礎的な知識があること
3.調理師に関する化学的知識があること
煮る、焼く、炒める、蒸す、揚げるなど加熱に、包丁さばき、調味料などの知識も含む。
4.厨房機器や調理道具に関する基本的知識
5.基本的に栄養に関する知識
6.食文化に関する知識
辻調理師専門学校では和洋中の基本的なことは一通り全て教える
今では和食の中にイタリアンが入ったりするため必要である
7.食に関する法的知識
主に食品衛生法、ISO22000、HACCAPの知識など
8.食に関する外国語の用語の知識

この8つの条件については調理学校では基本的に教える項目で、調理師を目指すのであれば必須な項目です。

【食事とリズム】


 食事とは何かを考えた場合、日常生活を営む上で、その日常性を刻むもっとも大切な指標であると考えています。

 日本人の食事には朝、昼、夕と1日3食を摂るという生活リズムがあります。特に若い人より高齢になるとこの生活リズムが非常に重要になってきます。

 朝食を食べない一定層もいるかと思いますが、朝食を抜くと、脳のエネルギーが不足して集中力や記憶力の低下などに繋がります。農林水産省では、「めざましあさごはん」を進めています。

 食事とリズムを考えた場合、日清医療食品様の業務にはとても重要になります。

 過去、病院食は夕食の提供が16時ということがありました。食事提供時間が早められるということは生活のリズムが狂います。また、食事は治療の一環でもあるため、不規則な食事のリズムは早期退院にも影響を与えます。

【高齢者と食事のリズムについて】

 高齢になると、1食の重要性が変わってきます。それは健康に直結するという理由もありますし、もう一つは回数です。例えば食事制限が必要な病気になってしまった場合、今まで食べていたものが食べられなくなります。

 また、老化により咀嚼・嚥下機能が低下した場合も同様です。

 そのため、1回1回の食事がもつ重みが高齢になると若い人に比べ、圧倒的に高くなっていきます。

【調理は食文化の創造】


 さきほど私は調理師には8つの条件が必要と伝えましたが、調理とは食材の選定、献立、調理法、盛り付け、器の選定など全ての国、地域に由来する食の文化的伝統に基づいています。

 例えば、うどんでは関西と関東で異なります。関西で関東のうどんを提供した場合、ものめずらしさに食べる方はいるかと思いますが、地元のうどんを提供する店舗を上回ることは難しいでしょう。

 つまり調理するということは、食べる方に合わせて食材の選定から調理法、味付けに至るまで国や地域の特性に合わせていくわけですから、ある意味において調理そのものが、食文化の創造的行為といえるでしょう。

 またそうした特性を考えて調理することに調理人としての喜びや魅力があるのではないでしょうか。

 昨今、調理においても自動化やロボット化が進められてきています。効率を考えた場合、機械化も一つの選択肢だと思います。

 ただ、料理には心があり、思いがあります。どれだけ技術が進んでもどこかに人の手と創造(想像)が介在するため、機械、AIと管理栄養士、栄養士、調理師との調和が必要になります。

【調理師業界が抱える課題について】


 現在の飲食業では、まだまだ調理師に対する処遇が低い現状があります。これは業界全体で調理師に対する処遇改善への取組みが必要になります。

 処遇は給与だけでなく、残業、休日、有給休暇の取得、産休や介護など働く人にとって働きやすい環境の構築が急務です。

 社員の雇用改善を行わない企業はこれから人員確保が厳しくなり、経営が厳しくなるでしょう。いち早く対応をした企業が生き残れます。

Q.これからの超高齢社会で求められる調理師や業界について教えてください。


【高齢者に寄り添う食事】


 日清医療食品様が医療・介護の分野で食事を提供する方の大半は高齢者が占めるのではと思います。

 これからの少子高齢化の中で高齢者へのニーズは高まりますが、まだまだ飲食業においては高齢者をターゲットにした咀嚼・嚥下に考慮した店舗は少なく感じます。

 今後は高齢者に着目する調理師が出てくるかも知れません。

 特に高齢者は免疫力も低下していることから、通常よりも食品衛生に気を配り、安全・安心な食事提供が求められます。

 また、高齢者向けのメニュー開発なども業界として活性化する可能性があります。

 ただ、若い調理師で高齢者と接点を持っていない人は高齢者のニーズにあった調理・献立作成が困難かもしれません。

 できるだけ、喫食者である高齢者の声を聞きながら、その要望にこたえる調理師がこれからは求められると思います。

Q.日清医療食品や業界について求めることがあれば教えてください。


【労働生産性の向上を】


 日清医療食品様の業務は社会のインフラであり、なくてはならない業務です。

 そのために、働く人が気持ちよく働いてもらう環境を作り、人が応募したくなる企業ブランドの構築が必要です。

 気持ちよく働くには、安定した雇用条件が必要です。労働時間、給与水準、各休暇の取得が必要ですが、その実現には労働生産性の向上が求められます。

 労働生産性の向上には管理者の意識改革が必要です。

 日清医療食品様では管理栄養士が事業所運営の管理をしていて、その上にSV、エリアマネージャーがいると聞いています。

日清医療食品 業務受託時の運営体制

【教育に力を】


 現在、日清医療食品様では辻調理師専門学校の卒業生が130名近く所属しています。

 けれど、日清医療食品様の規模ならば、御社独自で教育施設を構築し調理師の育成も可能であると思います。

 また、資格取得後も技量の向上など情報共有か研修の強化を行うことでより技術の高い調理師が育つと思います。

 ぜひ、教育にも力を入れていただければと思います。

※所属・役職名はインタビュー時になります。インタビュー日:6月24日

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安田 理様プロフィールについて

【経歴】


1971年  早稲田大学政経学部  卒業
1971年  財団法人・日本科学技術連盟入社(通称 日科技連)
1972年   同所退社
1972年  食の出版社 柴田書店編集部 入社
雑誌『月刊食堂』、『月刊喫茶店経営』、その他飲食専門誌の編集に携わる。
1985年   柴田書店 退社
1986年   大阪あべの辻調理師専門学校、辻製菓専門学校講師
1987年   有限会社フードビジネス企画開発室 設立 

【業務内容】


①飲食業の業態提案、レストランの企画開発
②飲食業のプロデュース
③飲食業のテナントリーシング
④「食」ビジネスに関するプロデュース
⑤飲食業の人材を含むコーディネート業務
⑥飲食業に関する執筆、編集企画

【主な執筆活動】


 『飲食店経営基礎講座 ~オーナーシェフレストランへの道』 ぺりかん社
 『カフェオーナー・カフェスタッフ・バリスタになるには』 ぺりかん社
 『こだわりカフェを開く』 ぺりかん社
 『現代フランス料理宝典―フランス東部、リヨン編』 学習研究社
 『繁盛店のメニュー戦略シリーズ 全10巻』 同朋舎
 『アメリカのテーマレストラン』 綜合ユニコム
 『用途・業態事業特性データファイル―飲食編―』 建築知識社
 『パン屋さん、ケーキ屋さんになる本』(共著) 成美堂出版
 『ISO22000 入門講座』 流通科学大学編
 『1992年~2008年版 日本の外食産業』 産経新聞メディックス
 『業態別レストラン開業実務計画』 綜合ユニコム
 『不動産活用事業プラン―飲食編』 綜合ユニコム
 『月刊飲食店経営』(商業界)、『月刊レジャー産業』(綜合ユニコム)などへ執筆

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