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管理栄養士・栄養士の地位向上を管理栄養士・栄養士の地位向上を

掲載日:2016年06月21日
ステークホルダー : 業界
キーワード : 教育機関 有識者コメント 管理栄養士 給食業界

管理栄養士・栄養士の地位向上を|和洋女子大学 多賀昌樹様へのインタビュー

 日清医療食品は病院・介護福祉施設向け、給食受託会社のリーディングカンパニーとして、経営の透明性を高め、ステークホルダーの皆様との健全で良好な関係づくりに努めるとともに、迅速な情報開示を行います。

 また、当ホームページではWebの特性を活かし、双方向のコミュニケ―ションツールとして、CSRへの取り組みの最新情報を随時公開しています。

 日清医療食品ではステークホルダーエンゲージメントを、社会課題の解決の手法や組織の決定に関する基本情報を提供する目的として、組織と一人以上のステークホルダーとの間に対話の機会を作り出すために試みられる活動と捉えています。

 今回、学校法人 和洋学園 和洋女子大学で臨床栄養学、応用栄養学を担当としている准教授の多賀昌樹先生に今後の栄養学や栄養士・管理栄養士が抱える課題についてインタビューしました。

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和洋女子大学 多賀昌樹様

※インタビューに答えていただいた、和洋女子大学 多賀昌樹様

Q.多賀先生が専門とされている内容について教えてください。


【機能性食品の臨床栄養への応用とそのメカニズムの解明】


 専門としている研究は、機能性食品をどう臨床栄養に活用するのか、またそのメカニズムの解明になります。

 今まで献立は、五大栄養素といわれる、炭水化物、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラルを元に立てています。

 しかしながら、本来食べ物は色んな機能を持っていて、その機能を最大限に活かした献立を作ることで、もっと健康寿命を伸ばすことや疾患の治療につながるのではないかということから、食べ物の機能の効果の検証とそのメカニズムの解明を私は研究しさらに献立に役立てようとしています。

 例えばハーブの香りで食欲を高める作用や、抗酸化作用、血糖上昇抑制作用、今話題の食事の際に野菜から順番に食べるベジファーストなど、食べ物の持つ機能をきちんとエビデンスを得て、うまく献立に活用しようとすることを目指し、基礎から応用までの研究を行っています。

 ただ、なかなか食事だけで効果が出たというエビデンスを得ることは難しいです。
 そのため、動物実験で例えばポリフェノールや核酸を使用して、その測定結果をもとに効果のメカニズムを追求し、今後の献立作成や現在課題となっている健康寿命を伸ばすための研究をすすめています。

 食事は1日の中の1食が変わったからと言って身体に対して劇的に変化することはありません。長い目で見ていかないと変化が分からないので、そこが一番の研究課題です。

Q. 管理栄養士について教えてください。


【社会的意義のある職種】


 私自身、アメリカでの留学経験があります。
 留学先で私の職業を尋ねられた時、「管理栄養士の資格があり、管理栄養士を養成している」と説明したら、『とても社会的意義のある仕事ですね』と賞賛されました。

 当時から約20年経った今でも、日本の管理栄養士の社会的地位は高くありません。
 日々の食事が病気の予防になることや治療期間を短縮に繋がること、それらが日本の医療費の軽減に繋がることを知ってほしいと思いますし、管理栄養士自身が社会的意義のある業種であるということに誇りを持ってほしいと思います。

【管理栄養士の魅力について】


 その人に適した栄養素を考え、食事を提供することが出来ることが管理栄養士の魅力だと考えています。

 健康な状態で栄養指導を受ける人は、一部の人やアスリートではありえますが、まだまだ一般的ではありません。

 また、『栄養指導』というと、脂っこいものは食べては「ダメ」だとか、甘いものを食べては「ダメ」という制限をかけられることと思っている人も多いと思います。

 けれど、この制限というものは、全体の流れを見た上で判断する必要があります。1日3食の食事の中で、一部の栄養素が過剰摂取になっている場合には、食べるものを組み替えて献立を変更する。そうすることで、偏りのない食事が摂ることが可能になります。こういう栄養素を考えて組み換えることが出来るのが管理栄養士です。

 ただ、食事を組み替えたことにより、身体がどう変化するという確実なエビデンスを実証することはとても難しいです。

 アスリートが栄養指導を受けて、食事を変えたら身体が軽くなったという意見はあります。

 しかし、そのメカニズムを説明するとなると、食事や栄養指導以外にも生活リズムやトレーニングなど複合的な要因が出てきます。

 このエビデンスをどう実証するのかを私自身が掲げている課題であり、テーマの一つでもあります。

【現場での管理栄養士の仕事について】


 病院の現場では、管理栄養士の役割は患者の栄養状態の把握と栄養管理です。
 さらに厨房と病棟を繋ぐことです。病棟に出て患者様の症状やその食事状況を知ることは、管理栄養士にとって重要です。

 下膳された際に、食べ残しが多い場合、摂取量が少ないために身体は低栄養に傾きます。
 その状態が続けば治療期間は長期化することが予想できるでしょう。そうならない為にも、管理栄養士が病棟に出て対話をする必要があります。

 患者様の声に耳を傾け、食べたいものが何かを聞き、たとえ毎日毎食はできなくても、治療のためにも食べてもらうことが大切です。

 特に、治療が長期化する疾患では、食事を楽しみの一つとしている患者様も多いと聞きます。

 残念なことに、病棟に出ることを怖がる管理栄養士もいます。
 献立を立てて提供している管理栄養士ならば、患者様にとって重要な食事のことを知らなければなりません。勇気をもって病棟に出てもらいたいです。

 もちろん、病院側の管理栄養士が病棟に出るためには委託会社の協力が必要です。
 委託側の管理栄養士がオーダーに応じた献立を作成していただけると、病院側の管理栄養士は病棟に行きやすくなります。

【管理栄養士の教育について】


 大学で研究をしながら教育をしていて気付いたことがあります。
 それは管理栄養士を目指している学生の中に、たまに料理が苦手な学生がいます。

 そういう学生には、まず調理と技術がいかに大切であるかを説明します。また、私の教えている栄養療法(治療食)実習では、食材を調理としたことで栄養価がどう変化したのかを比較しグラフ化させ、調理方法によって栄養価の違いを比較するように指導しています。

 例えば、白身魚を煮る、焼く、蒸す、揚げることで、どうエネルギーが変化するのかをグラフで可視化させることで、栄養素の変化をより理解させるようにしています。

 栄養学はただ料理を作るだけの実習ではなく、学問でもあることを認識してもらうことにもつながると思っています。

 実践した栄養管理や調理が患者様や栄養管理上どうなったかのかを「検証する力」が付くように教育をしています。

Q.今後の管理栄養士の課題について教えてください


【付加価値が必要な時代となる】


 管理栄養士は栄養価の揃った献立を立てることが出来ますが、今後は患者様に対して献立および食事の提供だけではなく、プラスアルファの付加価値が必要だと思います。

 更なるプラスアルファこそ今後の管理栄養士の姿になるかも知れません。

 例えば、私は、近い将来、機械やコンピューターなどのAI(人工知能)機能で食べた食事を入力するだけで、コンピューター診断による栄養指導が行われる時代になると危惧しています。

 そういう時代で、管理栄養士は何をすべきでしょうか?

 ある程度の献立の作成や栄養評価はコンピューターが行うことになるでしょう。
 だからこそ、付加価値が必要になります。それは食べ物の持つ機能を最大限に引き出すことかもしれませんし、日清医療食品様もインタビューされていましたマネジメントスキルを身に着けた栄養経営士かも知れません。

 機械化されて、献立業務が軽減できるのであれば、管理栄養士はもっと病棟に出るべきだと思っています。

 管理栄養士は、病棟に出て患者様の栄養状態を把握しさらにその人の生活や環境など、さらには患様の身体機能に見合った総合的なアプローチからの栄養管理が必要になります。

 手術前に栄養状態が悪い状態で手術をすると、術後の治癒が長期化することが分かっています。

 患者様の身体の栄養状態を良くするには、エネルギーやタンパク質などの栄養素も重要ですが、食べ物自身が持つ「機能性を高めた食材の選択と調理方法」を工夫した、メニューの組み合わせを考え、実践し、その効果について検証することが重要になってくると思われます。

【病気になる前から栄養管理】


 現在、日本の栄養管理は病気になってから指導する方法が一般的となっており、治療の一環として行われることが主流となっています。

 戦後の栄養失調から始まり、現在では過剰な食事摂取から糖尿病、脂質異常症(高脂血症)、高血圧が問題としてあげられています。

 また、今後は高齢者が増えることから低栄養や誤嚥からの肺炎などに対しても注意をしていかなくてはなりません。

 私としては、20代から40代までの世代に、疾病予防のために健診と併せて栄養指導を受けてもらいたいと考えております。

 ですが、お金を払ってまで栄養指導を受けたいという方はまだまだ少数だと思います。

 スーパーやドラッグストア、大規模商業施設の一角で無料の栄養教室を開いているのを見ますが、無料であれども先ほど述べたように「食事制限されるのではないか」と恐れて自ら受講する人は少ないのが現状です。

 また、受講しても一時的なイベントであるため、継続につながりにくいのです。

 一番働き盛りでこれから健康を維持しなければいけない世代に、もっと身近で気軽に継続して栄養指導を受けて頂けるにはどうしたら良いのか、管理栄養士以外の方々とも検討を重ねております。

 ただ、今後健康寿命を伸ばすためには、予防や健康増進といった今までの治療とは異なるアプローチが必要になります。

 必要な栄養素を「効率的」に「過不足」なく摂取することが必要になり、日常の食生活に「栄養指導」が当たり前のように存在する環境が今後必要だと思います。

 そのためには、今までの「栄養指導」のように治療が必要な人を対象にしたものではなく、健康な人を対象にした取組が必要です。

 参加へのハードルを下げ、間口を広げる必要があります。そのためには「糖質制限のウソ・ホント?」、「食べ物からのアンチエイジング」や「デトックス(解毒)効果と食事」など関心の高そうなテーマ設定をすることや、スタンプラリーの実施や認定証の発行など「テーマパーク」的な要素を導入し、ゲーム感覚や楽しさを強調していく必要があります。

 あとは、これは栄養指導を行っている際に思いついたことですが、例えば居酒屋で行う栄養指導なども取り組んでみたいです。

 ドリンクでビールを飲むのならば、おつまみに食べるものはこちらに変更見てはどうでしょう、など実践を交えながら気軽に参加できる敷居の低いセミナーの実施ができればと思っています。

 食べることは生きるためには重要ですが、食べる上で人とのコミュニケーションのツールとなることもあります。

 しかしながら、現実では孤食が増えている傾向にあります。本来楽しいはずの食事を楽しむことなく、単なるエネルギーの摂取になっていることもあります。そのため食べることに興味を持ち、その意味を知ってもらいたいと思います。

Q.今後委託会社に求めることがありましたら教えてください

和洋女子大学 多賀昌樹様

【情報が伝わりにくい】


 学生自身で調べて手に入れた情報では、企業の取り組みを知ることは難しいです。

 特に、日清医療食品様が東日本大震災、熊本地震での対応については、もっと社会にアピールをしてほしいと感じました。もう少し、広く学生が知れるような形での情報開示をお願いしたいです。

【働く管理栄養士の満足度を高めるために】


 学生が企業を知るときの多くは、先輩社員からの声になります。

 私自身、色んな施設があること、その契約内容が異なることは理解しています。しかし、学生たちは身近な先輩社員からの声が全てになってしまいます。

 日清医療食品様は契約先が5,300箇所、栄養士・管理栄養士の在籍数が約9,000人とお聞きしました。

 とても多くの管理栄養士が様々なところで働いていると思います。「いい会社だよ」と言う人もいれば、「よくない会社だよ」と言う人もいます。

 働く管理栄養士の満足度を高めるために、どうしたら良いのでしょうか。契約先の差を無くし、どこの契約先に配属になっても、以前の場所と同じように働けることが望ましいと考えます。

 働く管理栄養士の満足度が高ければ、学生ももっと委託会社に就職を希望すると思います。

【栄養士・管理栄養士の地位向上のために】


 日本は現在、少子高齢化を迎え、2025年には団塊の世代が75歳を迎えます。

 このことから産官学民を挙げて様々な取り組みが計画されています。

 その中で、多く出てくるキーワードが「健康寿命」です。

 健康寿命を伸ばすための食事や、病気を予防する食事などの食生活が重要になり、栄養士・管理栄養士はこれから注目されます。

 全国で委託事業を展開する日清医療食品様と共に栄養士・管理栄養士の地位向上のために、大学と企業がもっと連携できればと思っています。

多賀昌樹先生プロフィール


経歴
徳島大学大学院栄養学研究科 博士前期課程修了 修士(栄養学)
新潟大学医歯学総合研究科 生体機能調節医学専攻博士課程 修了 博士(医学)
テキサス大学ヒューストン校 医学部外科免疫栄養部門研究員
北里大学保健衛生専門学院 管理栄養科 専任講師・学科長
青友会岡林医院非常勤管理栄養士 ベリークリニック非常勤管理栄養士

専門分野
臨床栄養学 応用栄養学

※所属・役職名はインタビュー時になります。

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