「食」の側面から医療・福祉を見つめ支える日清医療食品。ヘルスケアフードサービス業界のリーディングカンパニーです。日清医療食品株式会社

CSR/社会貢献活動の取り組み

拡大する介護食市場について拡大する介護食市場について

掲載日:2018年06月15日
ステークホルダー : 業界
キーワード : 介護食 有識者コメント 給食業界

拡大する介護食市場について|食品産業新聞社 副編集長 三浦 宏章様にインタビュー

 日清医療食品は病院・介護福祉施設向け、給食受託会社のリーディングカンパニーとしての透明性の高い経営にするため、すべてのステークホルダーの皆様に対し、積極的かつ公平・迅速な情報開示に努めています。

 また、当ホームページではWebの特性を活かし、双方向のコミュニケ―ションツールとして、CSRへの取り組みの最新情報を随時公開しています。

 日清医療食品ではステークホルダーエンゲージメントを、社会課題の解決の手法や組織の決定に関する基本情報を提供する目的として、組織と一人以上のステークホルダーとの間に対話の機会を作り出すために試みられる活動と捉えています。

 今回、給食、外食産業界向け専門誌 月刊「メニューアイディア」編集部 副編集長の三浦 宏章様にインタビューを行いました。

»食品産業新聞HPについてはこちら

» ステークホルダーとの対話一覧についてはこちら

インタビューに答えていただきました食品産業新聞社 月刊「メニューアイディア」副編集長 三浦宏章様

インタビューに答えていただきました食品産業新聞社 月刊「メニューアイディア」副編集長 三浦宏章様

Q.月刊メニューアイディアについて教えてください。


 弊社は食品産業界の製造・流通・販売各層の健全な発展に寄与すべく、公正・迅速な報道と品位と責任ある提言をめざし、業界に役立つ魅力的な紙面作りを実施しています。

 なかでも「月刊メニューアイディア」は医療・介護施設給食、産業給食、学校給食、日配弁当事業の関連関係者を購読対象者にした、創刊42年の給食総合誌です。

 毎月、給食現場レポートや優れた食事サービス・加工食品の紹介、市場分析など、給食業界の関係者にお伝えしたい旬の情報を特集として掲載し好評を博しています。

 日清医療食品様とはヘルスケアフードサービスの民間委託解禁時※1より30年もの間、取材させていただいている旧知の仲です。

 この2、3年は特に、セントラルキッチン方式へ大きく舵を切られましたが、工場見学を快くお引き受けいただき、多機能機器と省力化の実践、衛生管理・生産性向上の様々な取組みを情報公開していただいております。

 関係先様をご紹介いただき、座談会企画も実施したことがあります。

 日本全体が人手不足となり生産性向上も求められる中、関係先様との連携模様を深掘りすることで、その意義を大きく紹介する企画は多くの読者から反響を獲得しました。

 また、給食の受託業務だけでなく、在宅への食事提供「食宅便」の取組みや、食品メーカーとの共同開発、優れたCSR活動など多角的な事業展開を進められているので、いつも刺激的な取材体験をさせていただいております。

※1・・・1986年3月 厚生省より「病院における給食業務一部委託について」の通達が出される。

メニューアイディアについて
創刊:昭和54年(1979年)1月
発行:毎月、初旬に発行
体裁:(月刊誌)A4判
主な読者:事業所給食、医療・シルバー施設、学校給食、日配弁当事業者、食品メーカー、卸業者、行政他。

食品産業新聞社HP メニューアイディアページ

Q.現在の介護食品市場について教えてください。


 総務省が17年4 月に発表した人口推計(16年10月1 日現在)によると、65歳以上の人口は3459万人となり、総人口に占める割合は27.3%と初めて27%を超えました。

 高齢者人口の急激な増加に伴い、市場の拡大に期待が掛かるのが高齢者向けの介護食品市場です。

 介護食品市場が示す高齢者食とは流動食、やわらか食、栄養補給食、水分補給食、とろみ調整食品などです。

 16年の高齢者向け食品の市場規模は1400億円を突破した(富士経済調べ)と見られ、20年には1700億円市場まで近づく予想です。

 市販用のやわらか食、流動食、とろみ調整品を製造・販売する多くのメーカーが加盟する日本介護食品協議会が毎年発表するユニバーサルデザインフード(UDF)の生産統計では、2017年も生産量・金額とも引き続き大幅な増加基調を示しました。

 生産量の2ケタ増は10年より8年連続、生産額については05年より13年連続の続伸です。

 また、製品登録数は現在2,025品目で前年比172品目も増えています。

 加盟企業数は18年6月1日時点で加盟社76社と増加の一途であり、利用者の期待に応えるべく各社それぞれの技術を用いて「おいしさ」「食べやすさ」を追求した多くの製品を提供しています。

(資料)日本介護食品協議会ホームページより参照。

 上記のとおり生産量・商品数ともに年々、拡大する介護食品市場ですが、商品開発に不可欠である利用者ニーズを各メーカーに伝えて市場拡大を促進しているのが、長年、病院・介護施設の食事サービスの受託実績がある給食企業です。

 なかでも、日清医療食品様は現場からの声を受け付けるN’s POST-Aと呼ばれる仕組みや、全国の栄養士・調理師が年に数回本社に集まり、協力メーカーからの新商品のプレゼンを行う会議や、現在使用している商品の問題点の改善や情報共有を行うことで、商品の改善に努められています。

 どのような商品が現場で求められているのか、厨房内にどういった問題点がありそれをいつまでに、どのように改善できるのかを迅速に出来る体制も一つの強みであると考えています。

 現在、どの業界も人で人手不足ですが、病院・介護施設業界も同様にこの人手不足とその対応が課題です。

 現場を省力化する便利で快適な商品が多く開発されています。

 例えば、1/2サイズ、1/4サイズ、1/8サイズとあらかじめ切られたきざみ野菜や、解凍させた魚を味付けして焼くのではなく、凍ったまま焼けるお魚など、様々な商品が開発され商品化されてきました。

 中には開発後、事業所で使用するだけでなく広く一般に利用されている商品もあります。現在の共同開発メーカーは約100社。8年前は800点だった商品アイテム数は2000点に増えているそうです。

カット野菜 商品画像

 商品開発会議に出てこられるメーカー担当者は皆、「ここは宝の山だ」と言われるそうです。

 例えば、ヤヨイサンフーズさんは2003年から日清医療食品様と「ムース食」の共同開発に取組んでいます。

 ムース食とは、咀嚼や嚥下の機能が衰えた方でも安全に食事ができるよう、ペースト状にした食材を柔らかく固めたものです。

 当時、高齢化の進展を背景に各社が様々なムース食を提供し始めていましたが、食材の味わいや食感が失われた見た目にも味気ないものが多く、その評判は芳しくありませんでした。

 そこで、日清医療食品様から「食材本来の風味やカタチを保ったムース食を」という要望をヤヨイサンフーズさんに依頼することで、現場の声をふまえた意見交換を重ねて新しいムース食が生まれました。

 高齢の利用者様にとって食事は数少ない楽しみです。ただ栄養が取れれば良いと言うのではなく、目でも楽しめ、おいしく味わってもらえるムース食はその後販路を広げ、業務用だけでなく在宅でもじわじわと流通してきています。

 メーカーが作る介護食品の提供先は大きく分けて業務用と在宅用に分かれますが、前者が9割のシェアを占め、在宅用は1割※2に留まっています。

※2・・・数値については食品産業新聞調べ

 しかし、2025年を目途とする「地域包括ケアシステム」(医師の往診や訪問看護、介護を受けながら、住み慣れた地域で最期まで暮らせるようにする態勢。

 厚労省では、団塊の世代が75歳以上となる2025年をめどに実現を目ざしている)の構築による在宅介護の推進で、在宅向けの介護食品市場も飛躍的拡大が期待されています。

 在宅向け商品においても、業務用商品開発の知恵が生きることは間違いなく、今後も給食企業と食品メーカーとの共同開発に注目が集まっています。

Q.介護食の拡大はいつくらいから顕著になったのでしょうか?


 介護食は1980年代に、誤嚥性肺炎を契機に嚥下障害がクローズアップされることで開発が始まり、1989年には経口食として飲み込みやすい食事の開発が特別養護老人ホーム「潤生園」や聖隷三方原病院で興りました。

 介護用加工食品は1990年前半から始まり、94年には厚生労働省が特別用途食品・高齢者用食品表示許可基準が設定し、98年にはレトルトの市販用介護食品が誕生しました。

 介護食品市場への参入企業が相次いだのは2000年の介護保険制度のスタートからだと思います。

 2002年には日本介護食品協議会が設立され、その翌年、「ユニバーサルデザインフード自主規格」が発行され、メーカーは連携しながら自社の商品に磨きをかけ技術と知恵を結晶させた多くの商品を生み出し、市場を彩る優れた商品が市場にドンドン投入されました。

 それからしばらく経ち、介護食品市場の様相を変えたのが2014年11月の農林水産省による介護食品の新しい愛称としての「スマイルケア食」の発表です。

※「スマイルケア食の選び方」(早見表)

 高齢化が進む中、介護食品が持つ悪いイメージを払拭し、介護食品がいかに求められるか、食べやすく美味しいものかを伝える試みだったわけですが、愛称と同時に発表されたのが、「スマイルケア食の選び方」(早見表)です。

 これを見ると、食機能や栄養に関して問題がある方々がどの食形態の食事をとるべきかを判断することができ、介護者及び被介護者は小売店等(ドラッグストア、スーパー、コンビニ)で商品選びに役立つツールとして幅広く活用することができます。

 また、「スマイルケア食」と「学会分類2013」など他の分類との比較表も発表され、病院・施設などの食事提供者が提供していた食事は、他の分類ではどの基準に相当するのか、理解した上で食事を提供することができるようになりました。

 その結果、患者が病院・施設間を移動する際、これまで食べてきた食事内容をしっかり伝えることができるようになり、誤嚥性肺炎の防止など様々な効果が期待されています。

 上記のような介護食品の食形態基準の整備は、介護食品を求める高齢者だけに留まらず、提供者であるメーカーの商品開発も後押ししました。

 市場拡大を自ら積極的に進めようと、これまで介護食品を開発したことのなかったメーカーも介護食品に注目するようになり、市場拡大を加速させたと言えるかもしれません。

Q.今後更なる市場拡大に必要なことは何でしょうか?

 食品産業の中でもとりわけ熱視線が注がれている介護食品市場ですが、成長市場であっても課題は山積みで、次のとおり厳しい状況があります。

①スーパーやコンビニなどの取扱いがまだまだ少ない。
(ドラッグストアや調剤薬局では徐々に取扱いが増えているので、売り場面積の拡大が必要)
②販売者への商品説明が不足しており、販売され方が最適ではない。
③医療・介護現場で働く専門職に伝わり切れていない。
④一般の方への認知度が低く、使い方が普及していない。
 (日本介護食品協議会の認知度定点調査では「介護食品」の認知率は50%。)
⑤介護食品を利用しやすい仕組みや制度がない。(価格が高いと思う方が多い)

 これらの課題を解決するのは一筋縄ではいきませんが、高齢化が進む中、在宅で安全・安心に高齢化が暮らせる社会を構築するためには、今後も医療関係者の努力とメーカー・卸・食事サービス提供者・行政・自治体等の努力と連携が欠かせません。

 ITの活用で必要な情報を手軽に取得できる環境の整備や、更なるニーズに対応する優れた商品開発も求められるでしょう。

 日清医療食品様はこれまで食品メーカーと連携し市場拡大を後押しする仕組みや、数多くの画期的な取組みを実施されてきました。

 食宅便のテレビコマーシャルも実施され、快適で便利で美味しい食宅便を在宅の食事困難者に訴求する試みも行われています。

1日10万食を製造できるヘルスケアフードファクトリー亀岡

 業界では人手不足が悩みの種となっております。

 日清医療食品様には、この大きな壁を乗り越え、ヘルスケアフードサービスを継続するために、

・セントラルキッチン方式の更なる強化・発展と給食調理現場の環境向上
・この業界に人を呼び込む業界イメージの向上などを期待
・ヘルスケアフードサービスのリーディングカンパニーとしてこれまで病院・施設で培ってきた実績と智恵を活かし、今後は在宅での療養高齢者(介護者・被介護者)に向けた取組み

などをさらに期待しています。

 介護食品のイメージ向上や介護食品の便利な使い方については、一社だけでなく各社と連携した取組みで大きなムーブメントを引き起こして欲しいと思います。

 各社とは、食品メーカーや卸、行政、医療・介護関係者などだけでなく、スーパーやドラッグストア、コンビニ、IT企業など様々です。

 具体的には、次の項目になります。
①食品メーカーや卸との介護食品イメージ向上懇話会の開催
②地域における介護食品ワークショップの開催
③厚労省が昨年作成した「地域高齢者等の健康支援を推進する配食事業の栄養管理に関するガイドライン」の普及
④日本栄養支援配食事業協議会における業界の問題設定と解決のための連携
⑤スーパーやコンビニとのコラボメディカル商品の開発
⑥介護食品アンテナショップあるいはアンテナHPサイトの開設
⑦競合企業との「未来のヘルスケアを語る」座談会開催
⑧健康をテーマに隣接業界とコラボした食宅便事業の発展

 高齢化は留まることを知りません。貴社の今後のご活躍に期待しています。

※所属・役職名はインタビュー時になります。

» ステークホルダーとの対話一覧についてはこちら

関連記事

幸福社会の創造を

幸福社会の創造を

インタビュー:岡田大士郎様
(株式会社HLDLab代表取締役社長)

2019年12月11日更新

給食の歴史から学ぶ

給食の歴史から学ぶ

インタビュー:藤原辰史様
(京都大学人文科学研究所准教授)

2019年10月23日更新

平成の振り返り 病院・介護施設での経営変化とこれからの課題について

平成の振り返り 病院・介護施設での経営変化とこれからの課題について

インタビュー:林 諄様
(日本医療企画代表取締役)

2019年08月05日更新

中国での病院給食・介護食の現状と課題について

中国での病院給食・介護食の現状と課題について

インタビュー:沙銘様
(匠天下餐飲管理咨詢有限公司 京和株式会社代表)

2019年07月29日更新

読む・見る・使う情報紙の新使命を貫く

読む・見る・使う情報紙の新使命を貫く

インタビュー:福島 厚子様
(日本食糧新聞社取締役)

2019年07月22日更新

調理師の魅力とこれからの時代の可能性について

調理師の魅力とこれからの時代の可能性について

インタビュー:安田理様
(大阪あべの 辻調理師専門学校・同技術研究所非常勤講師)

2019年07月16日更新