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平成の振り返り 高齢者施設の過去と未来について平成の振り返り 高齢者施設の過去と未来について

掲載日:2019年06月24日
ステークホルダー : 業界
キーワード : シニアマーケット 地域包括ケア 平成振り返り 有識者コメント

平成の振り返り 高齢者施設の過去と未来について|綜合ユニコム 坂本義朗様にインタビュー

 日清医療食品は病院・介護福祉施設向け、給食受託会社のリーディングカンパニーとしての透明性の高い経営にするため、すべてのステークホルダーの皆様に対し、積極的かつ公平・迅速な情報開示に努めています。

 また、当ホームページではWebの特性を活かし、双方向のコミュニケーションツールとして、CSRへの取り組みの最新情報を随時公開しています。

 日清医療食品ではステークホルダーエンゲージメントを、社会課題の解決の手法や組織の決定に関する基本情報を提供する目的として、組織と一人以上のステークホルダーとの間に対話の機会を作り出すために試みられる活動と捉えています。

 今回、令和元年を迎えて、“平成を振り返る”をテーマに綜合ユニコム 月刊シニアビジネスマーケット 編集長である坂本義朗様に平成時代の高齢者施設の変化と令和時代に求められる高齢者施設についてインタビューしました。

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綜合ユニコム 月刊シニアビジネスマーケット 編集長である坂本義朗様

インタビューに答えていただいた、綜合ユニコム 月刊シニアビジネスマーケット 編集長 坂本義朗様

Q.高齢者施設に焦点を充てて平成を振り返りトピックを教えてください。


【高齢者の方々を対象とする入居型の施設の始まり】


 そもそも介護を必要とする高齢者の方々を対象とする入居型の施設として、わが国で「老人ホーム」が開設されたのは、今をさかのぼる100年以上前の1895年(明治28年)に東京・芝に開設された「聖ヒルダ養老院」が端緒といわれます。

 以来、宗教法人や民間篤志家などによる社会奉仕活動に基づく流れが中心でしたが、戦前の救護法施行以来、国の制度事業となり「養老施設」との位置づけがなされました。

 さらに戦後になって、1963年に施行された老人福祉法によりこれらは特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホームに分類されるなど時代に合わせて制度の見直しが図られてきましたが、長く行政による「措置の時代」が続いてきたことは変わりませんでした。

【平成を迎えて】


 平成時代を迎える以前の1980年代はGDPが当時の世界の先進国中第9位へという経済的な躍進とともに、平均寿命が男女ともに世界一(84年)になるなど長寿化への認識も高まり、有料老人ホーム成長の兆しが高まった時代です。

 折からのバブル経済も加担し、「ライフ・イン京都」(86年開設、226室)、「アクティバ琵琶」(87年開設、384室)など施設の大型化の動きと共に、平成前夜の88年に開業した「サクラビア成城」(168室)は入居一時金が2億~3億円規模と、高価格設定が注目されました。

 平成に入った1990年代は従来、高齢者施設の中心的プレイヤーだった医療法人、社会福祉法人以外に、金融機関系、生命保険会社系、不動産デベロッパー系、などの大手事業者の参入もあり、開発が加速するなど「有料老人ホーム第3世代」台頭の時期とみなされます。

【介護報酬制度の施行】

国土交通省住宅局安心居住推進課資料より

有料老人ホームに関する最近の施策動向資料より

 平成12(2000)年の介護保険制度の施行に伴う大きな変化は「措置の時代から契約の時代へ」というシフトのなかで、高齢者施設・住宅の領域においてもより多様なサービスの選択肢が生まれる余地ができたことだと考えます。

 介護付有料老人ホームは人員、設備、運営などの指定基準を満たせば、設置主体を問わず「特定施設入居者生活介護」(特定施設)として介護報酬の対象となりました。

 これによってその開発はさらに拍車がかかり入居者数数でみると00年の約6万人から17年間で約50万人にまで拡大します。

 この間、国は量的拡大を進める一方で、質の担保を図るため、国は介護保険法の一部改正などを通じて規制強化、指導監督強化にも乗り出します。

 こうしたこともあり、総量規制も含め参入障壁が高くなった介護付有料老人ホーム等の特定施設に比べ、規制の緩い「住宅型有料老人ホーム」の開発へとなびく傾向がみられ、施設数だけでなく定員数でも平成の終わりには介護付きホーム約24万人に対して住宅型は25万人と逆転するに至っており、この傾向は今後も続くものと予想されます。

 介護保険制度以前と以降での高齢者施設の大きな変化を一言でいえば、かつてはリタイア後に悠々自適な暮らしを求める一部富裕層向けのものであったのが、制度以降はより多様な開発のあり方により入居一時金ゼロ円など低価格化が実現され、広く大衆化が進むなかで人々に身近な存在になったといってもよいでしょう。

 またマクロでみれば、平成以前に施設サービスの主力を担ってきた特別養護老人ホームは現在でも定員数では依然類型別のトップに位置しますが、有料老人ホームとの差は平成12年の24万人から同29年には11万人にまで縮まっており、その差は今後ますます小さくなるものと予想されます。

【サ高住居と地域包括ケアシステムについて】

 高齢者住宅として平成後期に登場し、以来注目を集めるのが「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」だと思います。

 制度が生まれたのが平成23(2011)年。振り返ると同13年の「高齢者の居住の安定確保に関する法律」(高齢者住まい法)をもとに誕生した「高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)」「高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)」に続き、同17年の同法改正に伴い「高齢者専用賃貸住宅(高専賃)」が創設されると同23年には約1,900棟、約5万戸を超える登録がなされるなど普及しました。

 その背景には、「施設から在宅へ」という国の方針のシフトがありました。

 社会保障費の財政面での要請とともに、規制の多い施設の中ではなくその人らしく自由に暮らすという高齢期の暮らしに対する時代的な要請があったことが挙げられます。

 それを後押しするのが、住み慣れた地域で多職種が連携するサービスにより在宅で最期まで暮らせる仕組みを目指す、「地域包括ケアシステム」という考え方です。

 サ高住はそのなかで「施設」ではなく、これからの高齢期の「住まい」として主役的な役割を与えられたのです。

 高齢者住まい法の改正により従来の高専賃を進化させたものがサ高住で、国は拡大する高齢者人口に備えその整備を促進すべく、開発に際しては建主に対する補助金制度や税制優遇措置などが設けられたこともあり、制度施行直後の同23年11月には旧来の高専賃からの登録替え中心に約110棟・約3,500戸だったものが、平成の終わりまでの約7年間で約7,300棟・約24万戸にも拡大しています。

 この意味で、平成時代を象徴する高齢者住宅類型の1つだったといってもいいと思われます。

Q.令和時代が抱える課題について教えてください。


【高齢者向けサービスの地域格差と2035年問題】


国土交通省住宅局安心居住推進課資料より

 こうして高齢者住宅の新たな主役に躍り出たサ高住ですが、普及拡大と共にいくつかの課題もみえてきました。


 1つは18㎡からの居室面積を認めたことで自立よりも要介護者の入居の比率が高くなったことです。

 本来、自立期からの早めの住替えを想定したものが、特養の待機期間の受け皿など介護度の高い人の入居が中心になる傾向がみられます。

サービス付きと言いながら、認定要件とされるサービスは安否確認と生活相談だけで、介護については入居者個々が訪問系のサービスを選択するという自由度の高いスキームが売り物でしたが、サ高住に併設される介護事業所からの過剰なサービス提供により経営的な旨みを求める一部事業者も現われるなどの諸問題点も指摘されるところです。

サービス付き高齢者向け住宅の登録状況

 また、医療機関や生活利便施設から離れ、地価の安い郊外エリアに多く建てられるなどの開発立地に対する課題もあります。

 地域格差という点では、高齢化率で先行していた地方では人口減に伴い高齢者の絶対数も縮小傾向にあり特養などでも空きが見られ始めていますが、サ高住に限らず、今後高齢者人口がピークを迎える2045年に向けて大都市部での高齢者の増加にどう施設・住宅が対応するか、という問題があります。

 地価の高い大都市部では有料老人ホームなども富裕層向けの高額帯の供給はあっても、低所得者向けの住宅整備が容易には進みません。

 その結果、都市部の高齢者は住み慣れた場所から遠く離れた施設などに移り住みを強いられる状況はつねにあったわけですが、その課題に対し国も増大する空き家を活用する「セーフティネット住宅」などの制度創設で対応を図っています。

 しかし、現状ではその数もふえてはおらず、供給数の面での解決は容易ではありません。

 その意味でも、施設開発に頼らず、あらためて地域包括ケアシステムの整備を推進し在宅でも最期まで暮らせる仕組みづくりがますます不可欠と考えます。

 同時に従来の公的な介護保険・医療保険以外に、自費も含めた多彩なサービスの創出により在宅での暮らしを支える多様なビジネスモデルなどが世の中に輩出されてくることが望まれます。

 そうしたなかで、有料老人ホームのような利用権、サ高住のような賃貸借契約とは異なる所有権に基づく「シニア向け分譲マンション」といった住宅のあり方も選択肢の1つになるでしょう。

 また、日本型CCRCのように高齢者だけでなく多世代が継続的に住み続けられる循環型のまちづくりなどもこの先、拡大していくものと予想されます。

【アジアの高齢化による需要拡大】

綜合ユニコム 月刊シニアビジネスマーケット 編集長である坂本義朗様

 一方で、世界のなかで「高齢化先進国」であるこの国において、こうした高齢者施設や住宅のあり方につき平成の30年間のなかでも紆余曲折を経ながらさまざまな知見が蓄積されてきたことは事実です。

 住宅事業に限りませんが、広範な介護技術やそのビジネス化のノウハウを、今後、日本を追うように高齢化が急加速するアジア諸国に対して輸出し、それぞれの国での課題解決に貢献することも重要でしょう。

 とりわけ人口の大きな中国に向けては、有料老人ホームのオペレータも少なからず2045年にピークを迎える国内の「次なる市場」として進出・開拓に取り組んでいます。

 ただし、単に日本の製品・サービス・技術を一方的に売り込むだけでなく、人材の交流を含めて、各国の生活文化や実状に寄り添ったあり方を双方で知恵を出し合いながら提案・構築していくことが成功の基本要因となるのはいうまでもありません。

Q.給食業界および日清医療食品に期待することを教えてください。


 この平成の30年間のなかで高齢者施設・住宅にあっては、その人らしく暮らせるためのさまざまなサービスが開発され、成長、多様化するに至りました。

 たとえばリハビリなどのサービス提供も含め、「お世話」型から自らがもつ力を活かす「自立支援」型へのシフトなども進んでいます。

 そうしたなかで、「食事」サービスについては、栄養の補給と同時に暮らしのなかでも「楽しみ」を生む大きな要素であり、今後、さらなる質の向上が進むことが期待されます。

 また、管理栄養士など食事の専門職が介在する有料老人ホームなどとは異なり、とりわけ在宅高齢者においては現在、独居の拡大とともに、低栄養によるフレイルの問題が顕在化してきています。

 日清医療食品様では、「食宅便」という高齢者宅へのお弁当の宅配サービスをかねて実施されてきています。

 今後も栄養面でのサポートはもとより、さらに個別化するユーザーニーズにきめ細かく応える商品開発にもチャレンジしていただき、引き続き高齢者の豊かな暮らしを支えてもらえればと期待しています。

※所属・役職名はインタビュー時になります。

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