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CSR/社会貢献活動の取り組み

シニアマーケットに求められるものシニアマーケットに求められるもの

掲載日:2018年05月22日
ステークホルダー : 業界
キーワード : シニアマーケット 介護食 有識者コメント

これからのシニアマーケットで求められるもの|月刊シニアビジネスマーケット 取締役編集長 坂本 義朗様にインタビュー

 日清医療食品は病院・介護福祉施設向け、給食受託会社のリーディングカンパニーとしての透明性の高い経営にするため、すべてのステークホルダーの皆様に対し、積極的かつ公平・迅速な情報開示に努めています。

 また、当ホームページではWebの特性を活かし、双方向のコミュニケ―ションツールとして、CSRへの取り組みの最新情報を随時公開しています。

 日清医療食品ではステークホルダーエンゲージメントを、社会課題の解決の手法や組織の決定に関する基本情報を提供する目的として、組織と一人以上のステークホルダーとの間に対話の機会を作り出すために試みられる活動と捉えています。

 今回、介護・医療+不動産・金融の融合を目指したマネジメント情報誌である月刊シニアビジネスマーケットの編集長である、綜合ユニコム株式会社 取締役の坂本義朗様に“今後のシニアマーケットに求められる”をテーマにインタビューを行いました。

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月刊シニアビジネスマーケット 取締役編集長 坂本 義朗様

※インタビューに答えていただいた、月刊シニアビジネスマーケット 取締役編集長 坂本 義朗様

Q.綜合ユニコムについて教えてください。


 弊社は1968(昭和43)年創刊の『月刊レジャー産業資料』の発行をはじめ、事業開発・経営のためのノウハウを発信する情報企業です。

 対象とする領域は、「レジャー」「NEWサービス」「シニア」「不動産」を中心に都市開発、商業、カルチャー、コミュニティ、スポーツ、健康、観光、リゾート、葬祭など幅広い分野にわたり、事業企画から開発、運営に至るまで多面的なビジネス情報を提供しています。

※綜合ユニコムHPより 綜合ユニコム事業内容イメージ

 実際の情報サービスとしては、個別の業界・業種の経営専門誌や資料集の発行、経営セミナー、ビジネスフェアの企画・開催、さらにリサーチ・コンサルティングなどを通じて、多様なニーズに柔軟に対応しております。

 シニア関連ビジネスの情報発信としては、毎月発行の「月刊シニアビジネスマーケット」以外に、年間40本程度の事業者様向けセミナーを行なうほか、年に2回、100人超規模のシンポジウム、フォーラムも開催しております。

雑誌 月刊 シニアビジネスマーケットについて

月刊 シニアビジネスマーケット 2018年5月号表紙

発行間隔:月刊
発売日:毎月1日
1冊定価:3,570円

高齢社会に対応した最新情報とデータをご提供。
高齢社会を支える介護、医療、金融、不動産、アクティブシニア向け事業などの事業者に向けた「超高齢社会のライフスタイルをデベロップする」シニアビジネスマーケットの経営情報誌。
高齢社会の事業経営、ビジネスモデル、施設開発・運営動向、人材開発、資金調達、資産運用、法制度など最新情報とデータをわかりやすくご紹介。

※画像は2018年5月号表紙
特集 
注目事業への期待と課題
「共生型サービス」と「介護医療院」

Q.月刊シニアビジネスマーケットについて教えてください。

【本誌の特徴とマーケットの変化】

※月刊シニアビジネスマーケット 取締役編集長 坂本 義朗様

 少子化と超高齢化が進み変貌するわが国の社会状況を鑑みて、2003年に創刊したのが「月刊シニアビジネスマーケット」です。

 本誌は、いわゆる「介護業界の業界専門誌」ではありません。誌名にもあるように、広く高齢者マーケットを対象にして、新たな需要とサービスの創造に取り組む事業者に対して、そのサポートを行なうというのが基本スタンスです。

 そのため読者層は介護事業者、医療法人、社会福祉法人のみならず、健康・スポーツ、不動産、設計・建設、シンクタンク、銀行など金融機関、さらにはNPO、自治体まで多岐に及んでいます。


※厚生労働省HPより 日本の人口推移

 とはいえ、創刊当初は「介護保険制度」を中心に情報発信をしてきた経緯はあります。やはり法制度ができた2000年以降、改正等のタイミングで報酬の見直しなどが行なわれ、事業に及ぼす影響も大きかったこともあり、とくに制度解説とそれに基づくビジネス化のメソッドなどの情報発信に重きを置いていました。そのため読者は介護事業者の方々が中心でした。

 その後、大きなエポックといえるのが、「高齢者専用賃貸住宅」やその後継である「サービス付き高齢者向け住宅」(サ高住)の制度創設でした。

 とくにサ高住が誕生した2011年以降は、市場へのインパクトの大きさもあり、「高齢者の住まい」づくりを中心とした記事が多くを占めるようになりました。

 やはり、高齢者の暮らしを考えた場合、「住まい」というのは、「介護」に劣らず重要な要素と位置づけられるからで、その普及啓蒙にも努めてきました。

 その結果、制度創設から足掛け7年の18年春の段階で、サ高住は全国に約7,000件(棟)、戸数は23万戸を数えるまでに至っています。

 この件数は有料老人ホーム(約1万3,000件)の半数強に及び、高齢期の安心・安全の住まいとして一定のポジションを確立しつつあるといえます。

※一般社団法人高齢者住宅推進機構HPより

 そうしたなかで、3年に1度の介護保険制度の改正も数を重ねるなか、社会保障財源の逼迫と、一方で介護給付を受ける高齢者数の急増もあり、報酬については厳しい見直しが繰り返されてきました。

「介護の社会化」を目指して誕生した世界にも誇る素晴らしい制度だと思いますが、残念ながらこの先介護給付が拡大する可能性は限定的と考えられます。

 そこで、これに依拠することなく、保険外サービスも含めて、事業者にはより幅広い視点でビジネスとしてのあり方を考える姿勢が求められるような環境になったと考えています。

 こうした変化を踏まえ、本誌では、いまあらためて「シニアビジネス」という広義の事業領域を対象に、高齢者の豊かな暮らしを支えるサービスを全方位的に捉え、情報発信していく方針を掲げています。

 もちろんそのなかで、「介護」はシニアの暮らしを支える重要なピースの1つであることは変わりません。

 重要な「介護」サービスを制度リスクなどに惑わされず、安定的、継続的にご利用者に提供していくうえでも、事業者としては広い視点で多様なサービスの可能性を考えておくことは有用なのではと思います。

【介護における食事の重要性】

 大きく「高齢者の暮らし」をみたとき、「住」と同じように大切なのが「食」だと思います。とりわけ「健康寿命の延伸」が言われるなかで、食の果たす役割は重要です。

 食事は1日3回、365日、摂取するわけですから、そこでの栄養面の管理などは、運動などとともに健康寿命を左右するものといえます。

 元気な高齢者にとっても介護予防の視点から、食に対する関心が高まってきていることは、望ましい傾向と思われます。

 この分野は認知症予防も含め、ニーズの拡大とビジネスの成長が今後さらに見込まれる領域と考えています。

 ただ健康と食に関する情報はテレビやネットで大量に流布されていますが、やはりエビデンスベースで医学的に正確な裏付けのあるものをきちんと見極められていくことが重要だと思います。

【介護食について】

※3Dムースの画像

 一方で要介護状態になられた方への食事提供も大きなテーマです。元気な高齢者でも時間の経過とともに咀嚼(噛む)、嚥下(飲込む)機能が低下していきます。

 加齢により機能が低下する中でもいかに自分らしい生活を送るか、そのためにできることは多々あると思います。

 最近、国も提唱する「自立支援介護」という考え方があります。

 そこでは従来のお世話型の介護のあり方を見直し、自らがもつ機能を活かしながら、できることは自分でやってもらい、自立した暮らしを行なえるようなサポートを行なう、という流れがあります。

 食事についても同様です。咀嚼が上手くいかないのは入れ歯があっていない、舌の動きが衰えたことにより口腔内に食事の残りがあり上手くケアが出来ていない可能性があります。

 入れ歯が合っていない、舌の動きが悪くなったなど感じてきたら歯科診療を受けることが大切です。

 嚥下についても、食べ物が引っかかりやすいなど感じてきたら、まず姿勢を正すことや、飲込みやすいよう今までの食事から少し気をつけて調理をするなども大切です。

 特にごはんについては水分を少し多めにして、柔らかいごはんにするなど家庭でもすぐに対応できることもあります。

 医療界でも変化が起きています。

 以前は「口から食べられなくなったら胃ろうで」という考えがありました。

 2014年度の診療報酬改定で胃ろう造設術に関する診療報酬の見直し(10070点→6070点)がなされたことや、口摂取回復促進加算(185点)の新設-従来の摂食機能療法(1日185点)に加え、新たに算定ができる-により、胃ろう造設は大幅に減少しました。

 確かに、脳卒中やALS(筋萎縮性側索硬化症)など胃ろう造設が必要なケースもありますが、加齢による咀嚼・嚥下困難者に対しては改善されました。

 個人的には極力最期まで自分の力で口からの食事を味わって楽しんでもらえるような環境が整備されればいいなと思います。

 そのためには日常的な口腔ケアから、高齢者の状態に即した食形態の配慮や工夫など、多角的な支援が求められてくるでしょう。

 実際、日清医療食品様では2004年にムース食を開始、その後2016年には「やわら御膳」を開始されています。


※日清医療食品 やわら御膳説明動画


Q.今後、給食業者や配食事業者に期待するものがあれば教えてください。

※月刊シニアビジネスマーケット 取締役編集長 坂本 義朗様

 食事メニュー開発から製造、提供までのプロフェッショナルとして、高齢者人口がますます増えるなか、求められる役割は今後、さらに大きくなると思います。

 いくつかの視点があると思いますが、まず有料老人ホームやデイサービスなどの介護現場では、現状での介護人材不足が今後さらに拡大すると予想され大きな経営課題になっています。

 そうしたなかで、いかに効率的なサービス提供ができるかが、事業継続~サービス継続を実現するうえで欠かせません。

 そのため現在、IoTやICT化、介護ロボットの導入・活用など現場の業務のシステム化による生産性向上への取組みが国を挙げて積極的に支援されています。

 介護施設での食事提供のあり方も同様で、省人化、省力化など効率性のさらなる向上が求められる一方で、2025年には「団塊世代」がすべて後期高齢者となり、利用者の中心を占めることになるため、「味」「品質」「バリエーション」などに対する欲求レベルもこれまでの高齢者層とは異なり、高まってくることは確実です。

 特に現状の介護食や介護施設では和食がまだまだベースになっていますが、今後は洋食や中華、イタリアンなど幅広い食事形態の開発にも着手していただきたいです。

 また、先にも申し上げたように介護保険給付は今後さらに緊縮化の傾向が強まるなか、施設側ではコスト管理に対してもよりシビアな姿勢を取らざるをえなくなるでしょう。

 その意味で、給食や食事サービスについても価格志向がより強まる可能性がありますが、その対応一辺倒になることなく、さまざまな価値の創造を通じて価格に反映させていく戦略も、今後のユーザーの嗜好の多様化を考えると十分にありえるのではないでしょうか。

 日清医療食品様では、本年の経営方針の中に「お客様に喜び、感動する食事サービスの提供」というのを掲げていると聞きました。

 入所している方の楽しみの一つに「食事」はあると思います。安全・安心であり、機能を維持するために重要な「食事」ではありますが、やはり「食事」は「おいしい」ことが重要だと思います。

 いずれにしても、激変するマーケットやニーズの変化にもしっかり対応していくことが期待されます。

 同時に、今後は施設ではなく、在宅で暮らす高齢者層の拡大が見込まれます。そうした際に、とくに独居高齢者などでは自立時から食事サービスに対するニーズは強く顕在化します。

 訪問介護でも料理など生活援助サービスの見直しが進むなか、また栄養管理の点からも、健康面に配慮した「配食サービス」の果たす役割には大きなものがあると思われます。

 貴社における「食宅便」をはじめ、このたびの日本栄養支援配食事業協議会の設立によってガイドラインに沿って、個人の症状にあった食事の質が担保された配食サービスが普及・拡大することに期待します。

 多様化する高齢者それぞれのニーズによりふさわしい「食」のあり方のセグメント化など、さらなる研究・開発も進めていただければと思います。

 一方で、介護を行なう側、たとえば在宅での家族などにも、介護食の存在や役割、正しい意味などを啓蒙してもらえればありがたいと思います。

 いくら優れた商品やサービスがあっても、介護する側に情報が届かなければ、肝腎の介護を受ける方がこれを享受することは困難です。

 その意味で、貴社の場合、一般向けレストランを立ち上げ、ムース食材を使ったオリジナル料理を広く提供する試みに取り組まれたのは、先駆的なケースとして注目されます。

 一般消費者にもムース食、介護食という存在を知らしめ、高齢者の食に対する理解を深め、その暮らしをより豊かにするものとして世に広めるような啓蒙活動を、今後とも継続していただけたらと思います。

※所属・役職名はインタビュー時になります。

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