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CSR/社会貢献活動の取り組み

平成の振り返り 災害における対応について平成の振り返り 災害における対応について

掲載日:2019年09月02日
ステークホルダー : 地域社会
キーワード : パートナーシップ 平成振り返り 復興支援 災害対応 献血

平成の振り返り 災害における対応について|日本赤十字社 事業局 救護・福祉部 参事 菊池 勇人様にインタビュー

 日清医療食品は病院・介護福祉施設向け、給食受託会社のリーディングカンパニーとしての透明性の高い経営にするため、すべてのステークホルダーの皆様に対し、積極的かつ公平・迅速な情報開示に努めています。

 また、当ホームページではWebの特性を活かし、双方向のコミュニケ―ションツールとして、CSRへの取り組みの最新情報を随時公開しています。

 日清医療食品ではステークホルダーエンゲージメントを、社会課題の解決の手法や組織の決定に関する基本情報を提供する目的として、組織と一人以上のステークホルダーとの間に対話の機会を作り出すために試みられる活動と捉えています。

 今回、大規模災害が多かった平成時代の振り返りとして、災害時の取組み・支援と令和時代における防災への取り組みにについて、日本赤十字社 事業局 救護・福祉部 参事の菊池 勇人様にインタビューを実施いたしました。

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日本赤十字社 事業局 救護・福祉部 参事 菊池 勇人様

インタビューに応えていただいた 日本赤十字社 事業局 救護・福祉部 参事 菊池 勇人様

【日本赤十字社の国内災害救護について】


 日本赤十字社の災害救護活動には、赤十字の人道的任務として自主的判断に基づいて行う場合と、災害対策基本法や武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律(国民保護法)における指定公共機関として、国や地方公共団体の行う業務に協力する場合とがあります。

・医療救護
 日本赤十字社は、災害時に備えて、赤十字病院の医師、看護師などを中心に編成される救護班を全国で約500班(約7000人)編成しています。

 災害が発生すると、ただちに救護班(1班あたり医師・看護師ら6人)やdERU(国内型緊急対応ユニット)を派遣し、救護所の設置、被災現場や避難所での診療、こころのケア活動などを行います。

・救援物資の配分
 日本赤十字社は、被災者に配分するため、日ごろから毛布、安眠セット、緊急セットを備蓄しています。

・輸血用血液製剤の供給
 日本赤十字社は、災害時にも血液製剤を円滑に確保・供給するため、全国を7つに分けた広域需給運営体制のもと、輸血用血液製剤の需給管理を行っています。

・義援金の受付・配分
 日本赤十字社は、被災された方々への見舞金である災害義援金の受付を行っています。

 受け付けた義援金は、第三者機関である義援金配分委員会に全額送金し、市町村を通じて被災者に配分されます。

義援金フローについて

【平成時代の主な大規模災害について】

時期 1995年 2004・07年 2011年 2014年 2016年 2018年
阪神淡路大震災 新潟中越
新潟中越沖地震
東日本大震災 関東甲信越雪害 熊本地震 平成30年7月豪雨他

Q.平成の振り返りとして日本赤十字社様の国内災害救護について教えてください。

【阪神・淡路大震災】

 災害というキーワードで平成を振り返ると、都市型災害である阪神・淡路大震災がまず思い出されます。

 日本での都市型震災としては、大都市を直撃した1944年(昭和19年)の昭和東南海地震以来となるこの阪神・淡路大震災では、福井地震を契機として新設された「震度7」が適用された初めての事例でもあります。

 道路・鉄道・電気・水道・ガス・電話などのライフラインは寸断されて、広範囲においてまったく機能しなくなりました。

 阪神・淡路大震災以降、都市型災害および地震対策を語る上で、「ライフライン」の早期の復旧、「活断層」などへの配慮、建築工法上の留意点、「仮設住宅」「罹災認定」などの行政の対策が注目されるようになりました。

 発表では死者が6,434名、負傷者が43,792名となっていますが、この死者のうち防げた死もあり、防災や救命救護における体制の見直しもされました。
 私どもでは発災後に被災地である兵庫、大阪に対して、徳島県支部、岡山県支部が支援チームをすぐに派遣しました。

 日本赤十字社の支援チーム(医療救護班)は、医師1名、看護師3名、事務職員(主事)2名を1チームとして編成しており、阪神・淡路大震災では981チーム、5,959人が派遣されました。

 派遣されるチームは拠点となる赤十字病院と地域の医療を支援し、支援物資として毛布、日用品セットを被災地に届けています。

 この阪神・淡路大震災の特徴として、この震災から一般のボランティアの方が被災地支援に参加されるようになり支援活動の幅が広がりました。

 ただ、課題も多くありました。

 一つは支援体制についてです。
 死者6,434名のうち約8割が圧死でした。
震災に携わった消防・警察・行政などの公的機関のあり方だけでなく、災害現場における医療についても、多くの課題が浮き彫りとなりました。

 がれきなどに長時間挟まれ、救出後に発症する「クラッシュ症候群」に関して、当時医療に携わる人たちにも当時はあまり認知されていませんでした。

 この災害では、「がれきの下の医療」をはじめとする多くの災害医療の課題が浮き彫りとなり、超急性期から活動する「DMAT(災害派遣医療チーム)」が誕生するきっかけとなりました。

クラッシュ症候群とは・・・がれきなど重いものに腰や腕、腿(もも)などが長時間挟まれ、圧迫されると筋肉細胞が障害・壊死を起こす。
それに伴ってミオグロビン(たん白質)やカリウムといった物質が血中に混じると毒性の高い物質が蓄積される。
この状態で救助される際に圧迫されていた部分が解放されると、血流を通じて毒素が急激に全身へ広がり、心臓の機能を悪化させ死に至ること。

 もう一つは献血です。

 被災地では献血者の受入れは困難であったことから、兵庫県の血液確保については岡山県、福岡県から支援することとし、大阪管内の血液確保については、愛知県、宮城県および北海道などから支援しました。

 報道から被災地の状況を見て「何かをしたい」という方が多く、献血会場に来られる方が一時的に増加しましたが、血液には血小板、赤血球ともに有効期間が定められているため、ご協力が集中することで、せっかくの献血血液を使用できないという状況が起きないよう、一時期に集中しないご協力をお願いしました。

(血小板については、当時よりは長くなっていますが現在も有効期間があります)

 これ以降、大きな災害等が発生した場合は、血液製剤の供給状況や献血にいらっしゃる方の動向を確認しながら、有効期間のある貴重な善意の献血血液を最大限に活用するため、一過性ではなく継続して献血に協力いただけるような働きかけを行っています。

【新潟中越・新潟中越沖地震について】

 この二つの災害を比較した際に、活動としてはチームの派遣、支援物資、義援金と変わりはありませんが、スピード感が違います。

 新潟県中越地震が17 時56分、新潟県中越沖地震が10時13分と発災時は異なりますが、被災地への支援スピードが異なりました。

 新潟県中越地震では50チームが派遣されるまでに6日かかりましたが、新潟県中越沖地震では初日に50チームが派遣されています。

 ただ、この支援についてもエリアが限られていたことがスムーズに進んだのではと思っています。

【東日本大震災】


 東日本大震災の特徴は広範囲であることだと思います。日清医療食品様もこの東日本大震災以前と以降でマニュアルが変わったと聞いています。

 日本赤十字社でも今までの支援では被災地域を指定されるのが普通でしたが、当時愛知県にいた私に来た指示は「北に行け!」だけでした。

 3月12日に福島入りをした時に、東京電力福島第一原子力発電所が原子炉を冷却できなくなり、1号炉・2号炉・3号炉で炉心溶融(メルトダウン)が発生したと伝え聞き、この場所が危険である旨を伝えられました。

 今までの災害支援に原子力発電所事故の対応などなく、私たちの中でもどう対応するのかが正解だったのかわかりませんでしたが、支援することが私たちの使命でもあることから限られた中でできる選択をしました。

【石巻赤十字病院の取り組みとモデルケース】

日清医療食品 社内報「悠翔」より

 東日本大震災で宮城県石巻市は巨大津波により沿岸部広域が破壊、浸水し、行政や医療機関など様々な機能がマヒしました。

 116の医療機関ほとんどが機能停止するなか、唯一残ったのは災害拠点病院である石巻赤十字病院のみでした。

 石巻には全国から3,633チームが派遣されましたが、うち日本赤十字社のチームは894チームでした。他の病院、団体からのチームの動きを当初は把握できておらず、避難所に医師が重複するなど無駄が生じました。

 そのため、2011年2月に宮城県災害医療コーディネーターに就任した石巻赤十字病院の石井 正医師が石巻圏合同救護チーム統括医師となり、石巻市民22万人、状況不明の避難所300か所、全国から駆けつけた1万5千人もの医療者をコーディネートして対応をしました。

 このコーディネート業務が現在の合同医療チームのモデルケースとなっています。

 尚、この石巻赤十字病院の食事提供は日清医療食品様が行われており、日清医療食品様の社内報「悠翔」においても取り上げられていました。

【支援について】

献血で被災し支援をキャンペーンで配布した「三県復興希望のかけ箸」

 2014年に日清医療食品様と「献血で被災地支援を!」キャンペーンを実施いたし、支援先は変更になっていますが、現在も継続いただいています。

 当初は東日本大震災の義援金のお礼で訪問した2012年がきっかけでそこから、色々と双方で企画しながらこの「献血で被災地支援を!」につながったと聞いています。

 2019年9月にも実施いただけると聞いており、この9月で11回目の「献血で被災地支援を!」のキャンペーンになると聞いています。
 今後も継続していただければ助かります。

【関東甲信越雪害】

 地震と違って雪害や水害は支援のタイミング規模が難しいです。

 当時は民間のヘリコプター会社と優先機契約を締結していましたが(現在は県防災、自衛隊との連携)、訓練ではなく実際の災害でヘリコプターを使用して血液を空輸したのがはじめてになります。

 報道からこの関東甲信越の雪害でヘリコプターを使用した企業は、当社以外ではセブンイレブン様、ファミリーマート様、ローソン様、日清医療食品様と聞いています。

 当社では山梨以外に長野、 そして群馬には富山空港を経由してヘリコプターで血液等の空輸を実施しました。

【熊本地震】

 熊本地震では当初、14日に発生したMj6.5 の地震が本震と想定されていました。けれど、16日未明に上記Mj7.3 の地震が発生したことを受けて気象庁は同日、後者(16日未明)の地震が本震で、前者(14日)の地震は前震であったと考えられるとする見解を発表しています。

 この熊本地震では14日の前震では被害がそこまでなかった地域でも16日の本震で甚大な被害が発生したことから、短期間に支援状況のリセットが必要になりました。

 ただ、東日本大震災以降コーディネーターの設置により適切な全国支援ができていたことがこの熊本地震では確認されています。

【平成30年について】

2018年7月8日 広島県三原市上空

 平成30年は大阪北部地震、平成30年西日本豪雨、北海道胆振沖地震と災害が続いた年でもあります。

 大阪北部地震は被災したエリアも限られており、大阪府支部並びに隣接する府県のみで迅速な救護活動が展開されました。

 ただ、平成30年西日本豪雨では、中国・四国地方(第5ブロック)の調整役を担う広島県支部自体が被災し、当支部への支援も必要となったことから、本社も調整機能の一部を担いました。

 特に、被害が甚大であった広島県、岡山県そして愛媛県への支援を継続的に行いました。

 その後に北海道胆振沖地震が発生しました。この地震では北海道全域がブラックアウトしたこと、ライフラインの不通がありました。

 当社では平成27年に海上保安庁と協定を締結していたことから、同庁の航空機で本社初動班を派遣することができ、迅速な救護活動に繋がりました。

 平成の時代を振り返ると、対応するスピードが明らかに向上しました。そして、もう一つがコーディネーション業務の重要性が認識されました。

大阪府北部地震 北海道胆振東部地震 西日本豪雨
派遣した救護班 15班 53班 87班
派遣したコーディネートチーム 3班 12班 19班
活動した赤十字ボランティア 136人 702人 1,188人

Q.令和時代の課題とその対策について教えてください。

【防災についての取り組み 】

 平成での災害は本社機能が維持できていたことが上げられます。

 現在首都直下地震や荒川氾濫など首都機能が不全になる可能性があり、想定外という言葉では片付けることが出来ません。

 そのため、当社でも首都直下地震対応計画や業務継続計画等を策定し、本社機能が麻痺した場合等の対策を講じているところです。

 多くの企業ではBCPについて取り組みをされているかと思いますが、災害はいつやってくるかわかりません。そのため、防災について一番大切なことは「続ける」ことだと思います。

  また、防災・減災の重要性、学校や地域における防災教育の取り組みなども実施し、広く防災、減災について周知をしています。

Q.給食業界に求めることがあれば教えてください。


【命を預かる業務】


 給食業務は命を預かる仕事です。

 どれだけ救護活動を実施しても、食事が提供されなければ助かる命も助からなくなります。

 BCPとして入院患者数分の備蓄食は用意されているかと思いますが、石巻赤十字病院のように地域住民が避難してくる可能性もあります。

 そのため、一定量の備蓄と安全、安心かつ安定して食事が提供できる環境を構築していただければと思います。

 また、日清医療食品様は東日本大震災時に住民への炊き出しもされていたと聞いています。

 有る程度安定して食材の供給ができるようになってからでかまいませんので、是非避難者への支援もできるような体制構築をしていただければと思います。


※所属・役職名はインタビュー時になります。

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