実習生が母国の発展の一助になることを願って
掲載日:2017年09月08日
ステークホルダー : 地域社会
キーワード : 国際社会 技能実習
実習生が母国の発展の一助になることを願って|ジョブネットワーク協同組合 富井達彦様にインタビュー
日清医療食品は病院・介護福祉施設向け、給食受託会社のリーディングカンパニーとしての透明性の高い経営にするため、すべてのステークホルダーの皆様に対し、積極的かつ公平・迅速な情報開示に努めています。
また、当ホームページではWebの特性を活かし、双方向のコミュニケ―ションツールとして、CSRへの取り組みの最新情報を随時公開しています。
日清医療食品ではステークホルダーエンゲージメントを、社会課題の解決の手法や組織の決定に関する基本情報を提供する目的として、組織と一人以上のステークホルダーとの間に対話の機会を作り出すために試みられる活動と捉えています。
今回、日清医療食品が外国人技能実習生の受入れにて協力いただいていますジョブネットワーク協同組合 事業統括本部 部長 富井達彦様にインタビューを実施いたしました。
※インタビューに答えていただいた、ジョブネットワーク協同組合 事業統括本部 部長 富井達彦様
Q.日清医療食品との関係について教えてください。
【外国人技能実習制度とは】
最長3年(新制度では5年)、外国から来られた技能実習生が日本の職場で技能を修得するための制度です。現在、日本には約23万人の実習生が学んでおり、出身国ではベトナム、中国、フィリピン、インドネシア等の国が多いです。
受入れ職種としては、日清医療食品様のような食品製造業の他に建設業、農業、漁業、機械・金属関係、繊維・衣服関係等があります。
【ジョブネットワーク協同組合について】
平成17年7月1日に設立し、外国人技能実習制度における監理団体として、技能実習を実施する各企業(実習実施機関)で実習が正しく行われているかを、確認・指導する役割を私どもは担っています。
技能実習生の受入れはベトナム人542名、インドネシア人121名、中国人101名の合計764名です。(実績は平成29年7月30日現在)
【日清医療食品との関係】
2015年4月に惣菜製造業が技能実習2号移行職種として認定された際にご縁があって以降、2016年8月のベトナム人技能実習生1期生受入れ、2017年9月のベトナム人技能実習生2期生受入れと、お付き合いをさせていただいています。
3ヶ月に1度の技能実習制度に基づく「監査」や、月に1度の「訪問指導」など、定期的に各CKや技能実習生の宿舎に伺っています。
私がおこなっている監査では、「実習が計画通りに行われているか?」、「労働基準法や入国管理法等関係法令に違反していないか?」、「実習生や企業が何か問題を抱えていないか?」などについて確認しています
Q.受入れまでの流れについて教えてください。
実習生の受入れ決定後、性別や履歴など企業のニーズに合わせて送出し機関が実習生を募集します。
また行政機関の審査や出国前研修などのため、面接を行ってから企業での実習を始めるまでに8ヶ月前後を要します。
Q.技能実習制度で期待できる効果は?
【国際貢献】
技能実習生が日本で学んだ技能を母国で活用することで、自分のキャリア構築、及び、企業や自国の発展に貢献できると思います。
また、私はベトナムをはじめとした東南アジア諸国で数多くの工場や建設現場を訪れましたが、日本に比べ安全衛生に関する意識は非常に低く、今後、経済発展に伴い労働災害や衛生関係のトラブルが加速度的に増加することを非常に危惧しています。
日本の進んだ技能や技術だけでなく安全衛生に関する高い意識と幅広い知識を、肌で感じ、学んだ人材は、母国の発展にとって極めて貴重な人材になると感じています。
※配属前に衛生や作業、製造している商品(モバイルプラス)の説明を受ける実習生。
【実習実施機関の活性化および国際化】
実習生を受けいれた企業様からはよく「若くて元気な実習生が入社したことにより、職場に活気が出た」という話しを伺います。
中高年の方々が多い企業様では「将来に希望を抱き、一生懸命業務をおこなう実習生」は貴重な存在となり得ます。
また、私がお会いした経営者の中には実習生から刺激を受け、「ベトナム進出計画を立てた」、「工場を新設する」、「新しい仕事にチャレンジする」等と仰る方々もいらっしゃいます。
加えて、実習生は日本各地の企業で受け入れていただいているため、通常であれば外国人と接触がなかった方々との新たなコミュニケーションが生まれ、企業の国際化、さらには日本の国際化にとって望ましいのではと考えています。
【送り出し国と日本の有効関係の構築】
もちろん全員ではないですが、日本で学んだ多くの実習生は「日本の技術は進んでいる」、「日本は安全」、「日本人は親切」と日本に好意的な印象を持って帰国してくれます。
このことは、日本と送り出し国との友好関係構築につながると思われます。
私も比較的親日の方が多いベトナムで定期的に仕事をしていますが、今後多くの実習生が帰国することで、人レベル、企業レベル、国レベルの絆が更に強まることを期待しています。
今後の発展が期待される国々との友好関係が深まることは、10年後、20年後の日本や日本企業にとって、大いに意義があることだと感じています。
Q.受け入れる側の企業が気をつけることを教えてください。
実習生は、当然ですが文化や言葉が違います。「日本語が話せないからダメ」なのではなく、「どうして話せないか?」を理解していただき、「どうしたら話せるようになるか?」を考えていただくことが大切だと思います。
私たち日本人にとっても外国で生活・仕事をすることや、外国語を学ぶことは容易ではありません。
文化や考え方に違いがあること、語学の習得には時間がかかることを考慮していただき、時に忍耐強く実習生の指導に取り組んでいただきたいと考えています。
一方で、実習生は「お客様」ではありません。「技能を学ぶ」ために日本に来ているので、努力が足りなかったり、不真面目な態度をとったりした際は、しっかり指導していただく必要があります。
また、危険な行動をとった時などは、他の日本人社員の方々と同じ様に、厳しく注意していただくことも大切です。
Q.今後日清医療食品に求めることがありましたら教えてください。
実習生に「日本的なきめ細やかな技術を伝えていただくこと」、「高い安全衛生意識を醸成していただくこと」に加え、実習生の方々が「日本に来て本当に良かったと思えるような経験」をさせていただけたらありがたいです。
多くの実習生にとって日本は容易に来ることができる国ではないので、業務上であっても業務外であっても、母国と異なる日本の文化や習慣に触れ、何かを感じていただけるとことができれば貴重な経験になると思います。
異国で不安と希望の中で一生懸命努力した実習生が母国に帰り、5年後、10年後に希望する人生を歩み、「あの時、日清医療食品さんで学んだことがとても役立っている」と思える日が来ることを心から願っています。
※所属・役職名はインタビュー時になります。
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