「食」の側面から医療・福祉を見つめ支える日清医療食品。ヘルスケアフードサービス業界のリーディングカンパニーです。日清医療食品株式会社

CSR/社会貢献活動の取り組み

減塩の重要性と糖尿病重症化予防について減塩の重要性と糖尿病重症化予防について

掲載日:2019年09月09日
ステークホルダー : 業界
キーワード : シニアマーケット 健康経営 減塩

減塩の重要性と糖尿病重症化予防について|一般社団法人日本慢性疾患重症化予防学会 専務理事 松本 洋様にインタビュー

 日清医療食品は病院・介護福祉施設向け、給食受託会社のリーディングカンパニーとしての透明性の高い経営にするため、すべてのステークホルダーの皆様に対し、積極的かつ公平・迅速な情報開示に努めています。

 また、当ホームページではWebの特性を活かし、双方向のコミュニケ―ションツールとして、CSRへの取り組みの最新情報を随時公開しています。

 日清医療食品ではステークホルダーエンゲージメントを、社会課題の解決の手法や組織の決定に関する基本情報を提供する目的として、組織と一人以上のステークホルダーとの間に対話の機会を作り出すために試みられる活動と捉えています。

 今回、慢性疾患の重症化予防手法の開発によって、地域の医療を守り、医療費の適正化を通じ、国民皆保険制度の存続につながることを最終目標としている一般社団法人日本慢性疾患重症化予防学会 専務理事である松本 洋様に減塩の重要性と糖尿病合併症のかかわり、そしてこれからの重症化予防についてインタビューしました。

»一般社団法人日本慢性疾患重症化予防学会 HPについてはこちら

» ステークホルダーとの対話一覧についてはこちら

一般社団法人日本慢性疾患重症化予防学会 専務理事 松本 洋様

インタビューに応えていただいた、一般社団法人日本慢性疾患重症化予防学会 専務理事 松本 洋様

Q. 一般社団法人日本慢性疾患重症化予防学会について教えてください。


【社会背景について】


 ヘルスケアが抱える課題を振り返ると終戦直後の日本人の平均寿命は60歳前後でした。

 当時の死亡要因は結核、感染症や乳幼児の死亡があります。また、栄養失調による死亡もこの当時はありました。

 この課題解決として、第二次世界大戦後の占領政策の一環として医学教育に組み込まれた公衆衛生学的アプローチにより 急速に上下水道の整備、栄養状態の改善がなされました。
 これがヘルスケアの第1ステージになります。

 第2ステージとしての課題として、死亡率が高い、「がん(悪性新生物)」「心疾患(急性心筋梗塞)」「脳卒中」の対策が講じられました。

 こちらは医学の進歩、高度化により救命救護における対応として大成功を収めました。

 当時は イベント発症から救命に必要な治療処置までの時間が数十分だったところが2時間まで延長され、また死亡率はまだ高いとはいえ3大疾病に罹患したとしても、直ちに死を迎えるケースは少なくなりました。

 現在が第3ステージになります。
 医学・医療の高度化により日本は世界有数の長寿大国になりました。けれど、現在の高度医療中心の医療システムだけで団塊の世代が80歳を迎えた場合 社会保障費の逼迫が問題となります。

 そこで、平成19年以降医療費のうち外来診療医療の上位である糖尿病、入院医療費上位の精神病を3大疾病に加え、5大疾病となりました。

 この慢性疾病の重症化予防(イベント予防)の療法・地域ワークフロー開発に貢献すべく当学会の設立に至っています。

【健康日本21と糖尿病腎症による新規透析患者の減少を】


 平成24年に健康日本21が改定されました。

 健康日本21(2次)の概要は、平成25年度から平成34年度までの国民健康づくり運動を推進するため、健康増進法に基づく「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針」を改正するものとして、第1次健康日本21(平成12年度~平成24年度)では、具体的な目標を健康局長通知で示していたが、目標の実効性を高めるため、大臣告示に具体的な目標が明記されました。

~健康寿命の延伸に関する基本的な方向~
①健康寿命の延伸と健康格差の縮小
②生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底
③社会生活を営むために必要な機能の維持及び向上
④健康を支え、守るための社会環境の整備
⑤栄養・食生活、身体活動・運動、休養・睡眠、飲酒、喫煙、歯・口腔の健康に関する生活習慣の改善及び社会環境の改善


 人工透析を要する状態になると3日に1回実施する必要があることから患者に対する負担がかなり大きく、また、透析患者1名に付き年間約500万円を保険者が負担することから医療経済的にも負担が大きくなります。

 新規の人工透析導入患者のうち、原疾患が糖尿病性腎症であるものが最も多く約4割を占めていることから、健康日本21(第2次)では、糖尿病性腎症による新規透析患者数の減少を最優先課題としました。

 しかしながら平成30年に実施した中間評価において、糖尿病性腎症による年間新規透析導入患者数は平成23年以降横ばい傾向で、年間約16,000人を超える状況が続いており、更なる糖尿病性腎症の重症化予防の取り組みを全国的に推進、強化していくことが必要です。

Q. 糖尿病性腎症の重症化を防ぐにはどうするのが良いのでしょうか?


【重症化を防ぐには「減塩」】


 糖尿病患者の多くは、すい臓からのインスリンの分泌や働きが悪くなる2型糖尿病です。

 食事からとったブドウ糖が、インスリンが減る、働きが悪くなったために体内でうまく利用できなくなり、血液中にブドウ糖がたまって高血糖が起こります。

 そのため、糖尿病における食事療法の基本的な考え方は、必要以上のカロリーをとらないようにし、すい臓の負担を軽くして働きを回復させ、インスリンの補給による血糖コントロールを行いやすくすることです。

 また、適切なカロリーの範囲内で、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素をバランスよくとることが大切になります。

 欧米では糖尿病患者の多くは、内臓脂肪が増え、生活習慣病や血管の病気になりやすいメタボリックシンドローム状態です。

 しかし、国保データベース(KDB)からは日本での糖尿病患者においては必ずしもメタボ体型ではない方も多いことが判ってきました。

 それらの知見も踏まえ、厚生労働省は平成28年4月に「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」を出し(改定版を平成31年4月に)、そこでの栄養・食生活の第1課題を減塩としました。

 これを受け自治体では、メタボだけでなく塩分過剰摂取に注目し、特定健診において推定塩分摂取量を測る取り組みが始まりつつあります。

 自治体において生活習慣病重症化予防の取り組みで減塩の取り組みを行った事例として千葉県香取市の取り組みがあります。

 香取市は人口が78,585人うち老齢人口は33.5%。特定健診受診率が平成28年度実績で49.0%です。

 平成29年度特定健康診査にて尿検査項目に追加し、早朝尿による推定塩分摂取量の見える化を実施した所、次の結果が得られました。

※香取市人口 老年人口 データ「(H29.3.31現在)」

 中央値より高低2群に分け 塩分摂取量と高血圧治療の関係で見たところ、男女とも高塩分群のほうが、高血圧治療が有意に多いことがわかり、また、塩分摂取量と糖尿病治療、塩分摂取量と脂質異常症治療、塩分摂取量とメタボの有無、塩分摂取量と医療費の関係も同様に高塩分群のほうが有意に多いことがわかりました。

 特定健診で推定塩分摂取量を測った他自治体のデータも同様の傾向を示しており、高塩分摂取群に対する減塩指導のアプローチが、生活習慣病の重症化予防並びに医療費適正化に繋がることが見えてきました。

【減塩を実施するために】


 外来患者向けに減塩指導を行うと糖尿病が悪化する傾向にある方の塩分摂取量は高いままで、健康に意識している方、軽度な症状の方のみ塩分摂取量が下がる傾向にあります。

 栄養管理がなされている入院患者とは異なり、生活の場にいる高塩分摂取者に対してのアプローチについては院内の指導だけでは食事管理を行うことは困難です。

 そのため、保健師や栄養ケアステーションが重症化の可能性があり、生活習慣改善が困難な患者宅を訪問し、生活環境を確認し、指導することが「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」では求められています。

 生活習慣病の重症化予防対象者は 老々家族、老人単身家族の方も多く、実際に自宅を訪問すると、「自炊をしていない」「外食や中食で済ましている」「冷蔵庫すらなくコンビニ弁当を食べている」などの状況が明らかとなり、食事制限が必要にも関わらず、自らが食べている塩分やカロリーを把握していない人も多くいることがわかりました。

 このような場合、栄養指導においては3食のうち1食でいいから減塩された商品を食べてもらうというアプローチが有効です。

 ただし、減塩商品については毎日食べられることが重要になります。まず、味についてです。減塩だから味がしないものだと食べることがストレスになり継続されなくなります。

 各メーカーの企業努力により最近はかなりおいしい食品が増えてきています。日清医療食品様の食宅便塩分ケアシリーズもかなりおいしく、ストレスなく継続が可能だと思われます。

 次は価格帯です。その方の生活レベルで継続できる金額帯であることが重要です。

 継続を希望したとしても金額が高額すぎた場合継続されない可能性が高くなります。

 更に多様性です。単一の商品のみだけでは飽きが来ます。また、入手がしやすいことも重要です。

Q.今後の課題や、業界・当社に求めることがあれば教えてください。


【ヘルスケアでの今後の課題】


 現在、糖尿病腎症による新規透析患者数の減少については、国によるプログラムも出来たことから方向性が確定しました。

 当学会では 2018年12月に法整備がなされた「虚血性心疾患の減少、血管疾患死亡率の減少」を次の課題として取り組みます。

 ただ、これらについても 生活習慣改善における減塩は必要です。

 2020年には日本人の塩分摂取基準の見直し(引き下げ)も行われることもあり、より広範囲な取り組みとなればと考えています。

【外食産業とのコラボを】


 団塊の世代は 生活習慣病の重症化予防対象者が多い世代でもありますが その減塩指導においては 今までよりも更なる多様性が求められると思います。慣れ親しんだ食事の味に外食が含まれるためです。

 日清医療食品様が7月28日から開始されました、吉野家様、エフピコ様、モスフードサービス様とのコラボである「みんなの日曜日」にはかなり期待しています。

 この「みんなの日曜日」は医療・介護施設で提供される食事ですが、今後外食において高齢者に配慮された食事が提供されるにおいてもカロリーや塩分に配慮された食事が提供できるようになることが好ましいです。

 ただ、その場合どの層をターゲットにするのかも問題になります。例えば80歳と70歳では噛む、飲み込む力に差があります。

 日清医療食品様には膨大な高齢者向けの食事提供データがあります。

 今後外食産業と更にコラボを行うことで、自宅や施設で外食気分を味わえる選択を増やすとともに、外食産業でも塩分や生活習慣病の重症化予防に配慮してもおいしい食事ができる未来を構築していただければと思います。

【見える化の促進を】


 食宅便のケアシリーズを定期購入される方は、医療機関で受診した際 検査数値の改善あるいは維持を医師から誉められ、励まされている可能性が高いです。

 確かに「おいしいこと」「リーズナブルなこと」「多様なこと」「手軽なこと」は継続する理由になります。

 けれど、医師を通じて検査数値が良好であることを知ることは継続するモチベーションにつながります。

 そのため、食べる方の健康状態をある程度把握し見える化、データ化することのサポートも大切だと思います。

 特にこれからの地域包括ケアシステムを考えた場合、高齢者は何らかの生活習慣病を患っている可能性が高いことを受け、在宅配食サービスを活用した重症化予防に適した食事の提供、健康維持は重要ですので検討いただければと思います。


※所属・役職名はインタビュー時になります。

» ステークホルダーとの対話一覧についてはこちら

関連記事

平成の振り返り 高齢者施設の過去と未来について

平成の振り返り 高齢者施設の過去と未来について

インタビュー:坂本義朗様
(月刊シニアビジネスマーケット取締役編集長)

2019年06月24日更新

シニアマーケットに求められるもの

シニアマーケットに求められるもの

インタビュー:坂本義朗様
(月刊シニアビジネスマーケット取締役編集長)

2018年05月22日更新

シナプソロジーの普及を

シナプソロジーの普及を

インタビュー:望月美佐緒様
(株式会社ルネサンス常務執行役員)

2018年02月26日更新