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平成の振り返り 病院給食の過去と未来について平成の振り返り 病院給食の過去と未来について

掲載日:2019年06月03日
ステークホルダー : 業界
キーワード : 平成振り返り 有識者コメント 病院経営 病院給食

平成の振り返り 病院給食の過去と未来について|病院新聞社 編集企画課 課長 原國幹彦様にインタビュー

 日清医療食品は病院・介護福祉施設向け、給食受託会社のリーディングカンパニーとしての透明性の高い経営にするため、すべてのステークホルダーの皆様に対し、積極的かつ公平・迅速な情報開示に努めています。

 また、当ホームページではWebの特性を活かし、双方向のコミュニケ―ションツールとして、CSRへの取り組みの最新情報を随時公開しています。

 日清医療食品ではステークホルダーエンゲージメントを、社会課題の解決の手法や組織の決定に関する基本情報を提供する目的として、組織と一人以上のステークホルダーとの間に対話の機会を作り出すために試みられる活動と捉えています。

 今回、令和元年を迎えて、“平成を振り返る”をテーマに病院新聞社 編集企画課 課長 原国 幹彦様に平成時代の振り返りと令和時代における医療業界の課題や目指すべき方向についてインタビューしました。

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病院新聞社 編集企画課 課長の原國幹彦様

※インタビューに答えていただいた、病院新聞社 編集企画課 課長の原國幹彦様

Q.“平成を振り返る”病院給食について教えてください。


【委託による病院食の進歩】


 1986年(昭和61年)に病院給食の委託が認可されました。また、1989年(平成元年)には日本メディカル給食協会が発足し、平成の時代に病院給食は画期的に変化しました。

 それまでの病院給食は、「まずい・冷たい・時間が早い」と言われていて、個人差を無視した平均値の食事を提供し、入院前の食生活スタイルはほとんど考慮されませんでした。

 委託開始時は委託をすることでコスト削減が実現できるという施設側の戦略もあり、委託化が進みましたが、現在は委託しても必ずしもコスト削減につながらない状況です。

 一方、委託化で病院給食の品質は向上しました。背景には、政策誘導、給食会社のフードサービスマネジメントや食品メーカーおよび厨房機器メーカーの技術向上などが挙げられ、顧客満足度も向上しています。

【選択と集中】

 2006年(平成18年)の「栄養管理実施加算」、2010年(平成22年)の「栄養サポートチーム(nutrition support tem:NST)加算」と、診療報酬の改定に伴い、施設に所属する管理栄養士は病棟に出て患者を観ることが求められるようになりました。

 この時から「選択と集中」という経営戦略のキーワードが出てきました。

 管理栄養士には調理技術と臨床知識の両方が求められます。しかし、両方の業務を行うことは時間的に厳しい現状があります。

 そのため、給食業務を委託することで、施設に所属する管理栄養士が入院患者の栄養状態を管理することに注力できるようにしました。

 ただ、ベッドサイドへ出向くことは、入院患者への心ある食膳につながります。つまり、「調理」と「臨床」は表裏一体の関係にあるのです。

 そのため病院に勤務する管理栄養士を目指す方は、委託であっても直営であっても調理を学ぶ時間を持ってほしいと私は考えています。

 「調理のできない管理栄養士は手術ができない外科医と同じである」という意見もあるくらいです。調理技術があれば、退院する患者に対して、退院後の栄養管理だけでなく、それを実現する調理方法もアドバイスすることができるのです。

【誰のための委託か】

 委託と直営の大きな違いを述べる際に労務管理や人件費の削減などのデータは欠かせませんが、是非、誰のための委託なのかという点を今一度考えていただきたいです。

 病院給食の委託が開始された時はコスト削減という点が目立っていましたが、現時点では食材費および人件費の高騰、今後見込まれる消費増税などを踏まえると、委託したからといって単純にコストが下がるとは言えない状況になってきています。

 また、消費増税を控え、直営で給食を運営した場合、食材費は軽減税率のため、消費税が8%のまま据え置かれます。

 しかし、この点だけを捉えて、委託から直営に変えれば費用が下がると考えるのは早計で、少子高齢化に伴う人手不足による求人活動や、災害時の対応など有事の際の取り組みなど、委託化でカバーできる見えにくいコストを考える必要があります。

 そして、そもそも委託化は、先ほど説明したとおり、管理栄養士が病棟に上がって入院患者の栄養状態を管理することに注力するための経営戦略の一環として実施されるものです。

 病院給食を委託する際の判断に“誰のための委託か”を考えていただきたいですし、委託会社は、委託化することで食事内容が向上し、入院患者が早期に退院できる手助けを行っていただきたいです。

【平成時代の変化】


 平成中期からQOLの観点から委託を推奨する施設も増えてきたように感じます。

 日清医療食品様では2004年(平成16年)にムース食を開始するなど高齢化を見据えた取り組みをされていますし、平成の間に介護食はかなり発展しています。

 また、平成を振り返ると阪神淡路大震災、東日本大震災、熊本地震に西日本豪雨と未曾有の大災害が起きています。

 委託会社においても非常時の取組みに力を入れている企業もあり、日清医療食品様においては年1回大規模な災害訓練の実施などを行うことで、“想定外ゼロ”を掲げられています。

 現在、BCP対応が入札条件の一つに入っている施設も増えてきています。

 一方、病院の災害対応の強化も大きな課題となっています。特に、民間の災害拠点病院や救命救急センター、周産期母子医療センターなどの重要施設は急務となっています。

 そのため、政府は、これら民間の災害拠点病院等の給水設備の強化や非常用自家発電装置の増設などを促すため、「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」を実施しています。

 具体的には、災害時に病院の診療機能を3日程度維持するために必要な給水設備や非常用自家発電設備の増設などに費用の3分の1を政府が補助することになっています。

 また、内閣官房ではBCPに積極的に取り組む事業者を認証する「レジリエンス認証」制度に取り組んでおり、特に病院の取得を促すことで国土強靱化につなげたい考えを示しています。

 そのため、病院とのつながりが強い日清医療食品様におかれましても、様々な災害時の取り組みもされていますので、「レジリエンス認証」の取得を検討してほしいと思います。

 また、BCPは街づくりにも密接に関連しています。日清医療食品様が行われている病院給食事業は社会のインフラの一部でもあるためどのような社会状況でも事業継続できるよう取り組みを続けていただければと思います。

Q.令和時代が抱える課題や日清医療食品に求める期待について教えてください。


【地域包括ケアシステムの加速】


 厚生労働省は、団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保される地域包括ケアシステムの構築を進めています。

 また、医療費の適正化の課題も指摘されており、健康寿命の延伸に向けて、重症化予防や健康経営を官民が連携しながら進めています。

 その中で特に食に関連した取組みでは、いつまでも食べる喜びを継続するための口腔ケアなども注目されています。

 今後、在宅患者の中には、老老介護世帯や独居世帯が増えてくることが見込まれ、訪問歯科医や歯科衛生士の在宅訪問など、在宅へのニーズが高まっていくことは確実視されています。

 加えて、在宅配食サービスの存在感も増しています。

 特に食のサポートでは在宅配食サービスが重要になり、ケアシリーズなど多彩なラインナップをされている日清医療食品様の「食宅便」の活躍が期待されます。新時代「令和」ではこの動きはさらに加速すると思います。

【2020年度診療報酬改定に向けて】


 医師が少ない地域の医療や、都市部でもなかなか医療機関にかかる時間がとれない働き盛りの世代の生活習慣病予防では、オンライン診療に期待する声も挙がっています。

 ただ、オンライン診療では対面診療に限りなく近い環境の整備、偽医者やなりすまし患者が生まれない仕組みづくり、処方薬を乱発しない仕組み、情報漏えいのためのセキュリティー対策、プライバシー侵害防止対策など取り組むべき課題は多く、慎重論も根強くあります。

 とはいえ、今後の新時代「令和」では、オンライン診療による産業拡大が予想されており、医療関連企業にも広がりが出てくるでしょう。

【「令和」時代の医療界の課題と展望】


 現在、医療界では近年にない大改革が進められている最中にあります。

 具体的には、地域医療構想の実現、医師の不足問題の解消、医師の働き方改革です。

 厚生労働省は、これらの課題を解決するための政策は密接に関連しており、〝三位一体〟で取り組む必要があると考えています。

 地域医療構想は、病床の機能分化・連携を加速させるため、高度急性期、急性期、回復期、慢性期の医療機能ごとに2025年の医療需要と病床の必要量を推計し、都道府県が策定するものです。

 ただ、機能分化・連携は、病院の統廃合、病床の廃止や縮小など、病院管理者に痛みを伴うため、調整が簡単ではありません。

 医師不足についても同様で、単純に医師を増やせば解決できる問題ではありません。

 厚労省は、2028年頃に医師需給が均衡し、医師の供給が過剰となる医師需給推計も公表しています。

 仮に今、医学部の定員を増やしても医師の養成には最低10年はかかりますから、一人前の医師になる頃には必要なくなっている可能性が高いのです。

 つまり、医師不足の根本的な問題は、医師の地域偏在および診療科偏在にあるのです。

 医師の働き方改革についても難しい問題です。現在の地域医療、特に救急や産科医療は、医師の自己犠牲によって成り立っていると言っても過言ではありません。

 労働時間が全ての職種の中で最長と言われる医師の過労死や自殺をなくすために残業を減らせば、患者の救われない命が出てしまうことが懸念されているのです。

 新時代「令和」も、この3つの課題の解決が医療界にとって大きなテーマとなるのは間違えないでしょう。

【医師の働き方改革への対応(タスクシフト)】

 このうち医師の働き方改革の解決策の1つとしてタスク・シフティングやタスク・シェアリングがあります。

 具体的には医師の業務の中には、看護職員、薬剤師、医師事務作業補助者など事務職といった他職種へ業務移管できるものもあるのではないかと検討されています。

 ただ、「医療現場では各職種とも目いっぱいの仕事をしており、シフトすることでその方々の働き方が厳しくなると思う」と懸念する声もあり、簡単ではありません。

 しかし、この取組みなしに医師の働き方改革はできないとも思います。

 この取組みが加速する中で管理栄養士が求められる仕事内容が広がってくることも予想されます。

 また、給食委託会社が求められる内容も変化していく可能性があります。今後の動きに注目していただければと思います。

 私もメディカル給食のリーディングカンパニーたる日清医療食品様の動向に、今後さらに注目するとともに期待したいと思います。

※所属・役職名はインタビュー時になります。インタビュー日:4月23日

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